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欧州原産連合が意見書:「EUのクリーン・エネルギー目標達成に原子力は不可欠」

2017年4月19日

 フォーラトム(欧州原子力産業会議連合)は4月18日、欧州委員会(EC)が昨年11月に提案した政策パッケージ「すべての欧州市民にクリーン・エネルギーを」に対する意見書を公表し、2050年までにEU経済の80%以上を低炭素化するというEU目標の達成に原子力発電は欠かせないとの見解を明らかにした。

 ECの政策パッケージでは、クリーン・エネルギーへの移行が未来の成長分野である点を指摘しており、これをEU域内における具体的な産業強化の機会とするため、(1)エネルギーの効率化を最優先とする、(2)再生可能エネルギー分野で世界のリーダーとなる、(3)立場の弱い消費者にとっても公正な取り決めを提供する--などの政策を提示。これらに基づいて2021年から年間最大1,770億ユーロ(約20兆6,300億円)の官民投資資金を活用することで、今後10年間に域内総生産が最大1%拡大し、90万人分の雇用を新たに創出できるとしていた。フォーラトムは「EUが2030年までの気候変動・エネルギー政策の目標を達成する際、これらの政策により首尾一貫した最適なアプローチが保証される」と評価した一方、これには原子力産業界の見解を考慮することが条件になると強調している。

 フォーラトムはまず、ECの政策パッケージにおける狙いとして以下の点に言及。すなわち、エネルギー市場の機能を改善し、気候変動対策やエネルギー関係の目標達成努力を脅かすことなく、全エネルギー技術間で公平な競争の場を保証することである。そのためには、費用対効果の高い低炭素化や、最終消費者に適正価格の電力を供給できる効率的な電力市場、および低炭素技術に対する投資の促進が必要だとフォーラトムは強調。また、EU排出権取引制度(ETS)の重要性を強調するとともに、ETSと矛盾する政策が取られないよう配慮すること、特にエネルギー消費量の30%削減という法的拘束力のあるEU目標については重要であるとの認識を示した。

 フォーラトムとしては、法的拘束力のあるシステム(ガバナンス)や電力市場の設計、エネルギーの効率化、技術革新、およびエネルギー価格とコストといった課題について、EU加盟国に対する提案の策定に重点的に取り組む方針。ガバナンス関係では、炭素強度を定量化することや、気候変動・エネルギー政策のEU目標達成における原子力の現在および将来的な貢献について明確に説明することを各国に要請すべきだとした。また、市場の価格シグナル(動勢)に基づいて低炭素電源への大規模投資が長期的に行われるようなEU枠組の設定を訴えていく。エネルギーの効率化については、温室効果ガスの削減努力を損なわない一次エネルギー消費量を計算するという効率的アプローチを取る考え。技術革新関連では、原子力部門でEUが技術的、産業的なリーダーシップを維持するための戦略を勧告する。エネルギー価格とコスト面については、フォーラトムが2015年に提出した勧告に沿って、新規建設コストなど原子力関係の数値を改訂するようECに求めるとしている。