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原子力委員会「基本的考え方案」取りまとめ パブリックコメント募集

2017年4月27日

 原子力委員会は4月26日、今後の原子力政策の長期的な方向性を示唆し、羅針盤となる「原子力利用に関する基本的考え方」の取りまとめに向けて議論した。原子力委員会では2014年12月の体制刷新以来、これまでの原子力政策大綱(最後の大綱は2005年決定)に替わるものとして、有識者からヒアリングを行うなどして、基本的考え方の検討を進めてきた。これら意見を踏まえ、基本的考え方案では、福島第一原子力発電所事故の影響や地球環境問題など原子力を取り巻く環境変化とともに、「原子力関連機関に継続して内在している本質的な課題」を指摘。従来の日本的組織や国民性の特徴が原子力の安全確保のみならず原子力利用全体にも影響を及ぼしたとの認識の下に抜本的な改善策を検討することや、原子力利用に際して高い透明性や説明責任に真摯に対応することが必須であると訴えている。
 26日の会合で示された原子力利用に関する基本的考え方案では、冒頭、原子力政策全体を見渡した、我が国の原子力の平和利用、国民理解の深化、人材育成、研究開発等の分野横断的な目指す方向とあり方を示し、原子力委員会および関連する政府組織がその責務を果たす上でのよりどころとするものとしている。また、「エネルギー基本計画」「科学技術基本計画」「地球温暖化対策計画」等を踏まえ、原子力を取り巻く幅広い視点を取り入れて、施策のあり方を記述したと述べている。なお、今日の原子力をめぐる環境は大きく変化していくことから「基本的考え方」も5年を目途に適宜見直して改定すると記載している。
 その上で基本目標として、まず「原子力利用に当たっては、平和利用を旨とし、安全性の確保を大前提に国民からの信頼を得ながら、原子力技術が環境や国民生活及び経済にもたらす便益の大きさを意識して進めることが大切である」と改めて掲げた。具体的には、(1)福島第一原子力発電所事故の反省と教訓を真摯に学ぶ(2)地球温暖化問題や国民生活・経済への影響を踏まえた原子力エネルギー利用を目指す(3)国際潮流を踏まえた国内外での取り組みを進める(4)原子力平和利用の確保と国際協力を進める(5)原子力利用の大前提となる国民からの信頼回復を目指す(6)廃止措置および放射性廃棄物の対応を着実に進める(7)放射線・放射性同位元素の利用により生活の質を一層向上させる(8)原子力利用のための基盤強化を進める――ことを挙げた。
 これらを踏まえた重点的取り組みとして、ゼロリスクはないとの前提で安全性向上へ不断の努力を続けることや、健康影響の低減を考慮した防災・減災を推進していくこと、着実な軽水炉利用および核燃料サイクルに向けて取り組むことや、科学的に正確な情報および客観的事実(根拠)に基づく情報体系を整備することなどを挙げている。原子力事業者に対しては、国との対等で建設的な意見交換を透明なプロセスの下で行い、研究開発機関や大学と連携および協働していくとともに、事業者自ら情報発信を行っていくことなど、主体的な取り組みを求めている。
 今回取りまとめた「基本的考え方案」については、4月27日から6月5日までパブリックコメントを募集し、原子力委員会として正式決定した後、閣議決定をめざす。