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米ニュースケール社、SMRシミュレーターで商業用初号機の訓練

2017年5月11日

©ニュースケール・パワー社

 米オレゴン州ポートランドを本拠地とするニュースケール・パワー社は5月9日、同社製小型モジュール炉(SMR)の制御室を模した2台目のシミュレーターを北側に隣接するワシントン州のリッチランド事務所で起動したと発表した(=写真)。最初のシミュレーターは2012年にオレゴン州コーバリスに設置されたが、新しいシミュレーターは東隣のアイダホ州アイダホ国立研究所(INL)内で建設する商業用SMRの運転訓練に使われる予定。同社は昨年12月に同社製SMRの設計認証(DC)審査を米原子力規制委員会(NRC)に申請しており、NRCは今年3月にこれを正式に受理した。初号機の事業者となるユタ州公営共同電力事業体(UAMPS)は2025年頃の営業運転開始を目指しているが、運転を担当予定のワシントン州のエナジー・ノースウェスト(EN)社は、同シミュレーターで開発する運転手順や訓練資料などを使ってSMRの設計や操作に習熟し、実際の営業運転に備える計画だ。

 ニュースケール社のSMRは、出力5万kWのモジュール統合型PWR。モジュールを12基連結することで出力を最大60万kW(グロス)まで拡大することが可能であり、同社としては人口50万人規模の市なら十分な出力との認識である。UAMPSはアイダホ州の南側に隣接するユタ州が本拠地だが、西部8州の地方自治体と共同組合45機関による共同活動組織。近年は独自の「低炭素電力プロジェクト」を進めており、安全でシンプルかつコスト効果の高いSMRの建設サイトとしてINL敷地内の1区画を特定した。米エネルギー省(DOE)が2016年2月に同区画の使用を許可したことから、NRCによる広範な安全審査と環境影響評価、SMRの設計認証審査等がクリアできれば同区画での初号機建設が実現することになる。

 リッチランドに設置された新しいシミュレーターは、SMR制御室をバーチャルに再現するもので、SMRモジュールとタービン発電機および補助システムの運転を模したワーク・ステーションを装備。モジュール12基の全システムを、1つの制御室で包括的に監視・制御できるという。EN社はワシントン州内でコロンビア原子力発電所(120万kWのBWR)を所有・運転する電気事業者で、米国西部地域におけるSMRの商業利用を推進するため2013年からニュースケール社とともにUAMPSに協力している。このシミュレーターにより、同社は従業員がSMRの運転訓練を積む貴重な環境が整うと歓迎している。