フォントサイズ:

IAEA:中国で最古商業炉の運転期間延長準備が進展と結論

2017年6月16日

 国際原子力機関(IAEA)で原子力発電所の「長期運転の安全的側面(SALTO)」に関するピアレビューを担当するチームは6月15日、中国の稼働中商業炉の中で最も古い秦山Ⅰ原子力発電所(PWR、31万kW)について、「長期的に安全に運転していく準備が進展した」との評価結果を明らかにした。中国は1991年に国内で初めて送電開始した同発電所で、設計上の運転期間30年に加えて20年の期間延長を計画している。このため、IAEAは同発電所を所有する中国核工業集団公司(CNNC)傘下の運転管理会社から要請を受け、6月6日に国際的な安全性専門家12名で構成されるSALTOチームを派遣。同炉で長期的に安全性を確保していく際の経年化管理プログラム等について詳細に審査し、予備報告書を発電所の管理者に手渡した。最終報告書は3か月以内に、同発電所と原子力規制当局である国家核安全局(NNSA)、および中国政府に提出するとしている。

 IAEAが加盟国に提供する様々な安全レビュー・サービスのうち、「運転安全評価チーム(OSART)」が運転上の安全に関して安全管理や職員の能力に影響する要素を審査するのに対し、SALTOのピアレビューはこれを補完する役割を担う。「長期の運転(LTO)」で安全確保するための主要要素や戦略を包括的に審査することになっており、対象発電所における人的資源や知識管理など、LTOに関わる組織構成やプログラムをIAEAの安全基準に照らして評価している。これまでに、稼働中の原子力発電所が国内で1サイトのみというハンガリー、オランダ、南アフリカ共和国に数多くチームを派遣したほか、韓国、チェコ、ベルギー、スウェーデンでも複数回のSALTOレビューを実施。日本では今のところ、実績はない。

 SALTOチームの説明によると、中国ではNNSAが原子力発電所に対して10年毎に定期安全審査(PSR)の実施を義務付けており、すでに2回のPSRを終えた秦山Ⅰ発電所の運転認可は2021年で満了する予定。運転開始当初からの合計運転期間を50年に延長するため、CNNCが2016年、NNSAに申請書を提出したとしている。同発電所について、IAEAは2015年に「事前SALTO」チームを派遣済みであり、今回、実質的なLTOレビューを行った結果として、安全なLTOの実施に向けた準備作業と経年化管理が大幅に進展していると明言。良好事例・実績として、(1)安全なLTOの準備を支援する組織的構造が整っている、(2)格納容器隔離弁の漏洩率試験が包括的に行われている、(3)機器の期限を区切った経年化分析で再検証が行われた--を特定した。一方、さらに改善すべき分野としては、PSRを一層包括的なものにする、総合的な環境条件プログラムを実施する、土木構造と機器について効果的な経年化管理プログラムを設定・実施する--を挙げた。発電所側としては、このような勧告の実行を約束するとともに、2年以内にフォローアップ・ミッションを派遣することをIAEAに要請している。