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英国政府、EU離脱にともなう核物質と保障措置問題で交渉方針提示

2017年7月14日

 英国のEU離脱担当省は7月13日、欧州連合(EU)からの離脱に関する第2ラウンドの交渉が翌週に始まるのに先だち、核物質と保障措置に関する問題等について英国としての交渉方針書を公表した。基本方針として、(1)欧州原子力共同体(ユーラトム)は法的にEUと特異に結びついているため、EU離脱プロセスの開始とともにユーラトムからの離脱条項も発動される、(2)英国が整然かつスムーズな離脱を果たし、残りのEU加盟27か国と今後も互恵的に連携していく道が拓けるよう緊密に協力したい、(3)英国の現在の義務を果たすため、主要な非EU国である米国、カナダ、豪州、日本とは原子力協力協定の締結で合意を目指す--などを確認。保障措置のようにEUと英国にとって共に重要な問題では、今後も継続的に協力していくことを希望している。また、交渉方針書によって離脱交渉を公平かつ透明性のある方式で進めるとともに、両者の将来的な連携形態が離脱交渉といかに密接に関係しているか実証するとしている。

 これに関して、英国原子力産業協会(NIA)は同日、「第三国との協力協定や規制について、ユーラトムとの取り決めを代替することがいかに複雑であるか物語っている」とコメントした。英国原子力産業界としては、ユーラトムの加盟国として留まることが国益に資する最良の道と認識していることを改めて表明。政府が指摘した「好ましい結果」を生むためには、ユーラトムの準加盟国になるというオプションが途切れのない賢明な方法であり、EU機関との協議における最優先事項にすべきだとした。また、離脱にともない政府が産業界に対して「確かさと明確さ」をもたらしたいと述べたのに関しては、離脱交渉による実際の影響や行政的な結論について十分理解できるよう、産業界との定期的な協議の場を今後も維持してもらいたいとの見解を明らかにした。

 交渉方針書によると、核物質と保障措置問題に関する交渉の原則として、英国政府は以下の点をユーラトム側に提案している。すなわち、保障措置関係の取り決めに途絶が生じないよう、英国としての保障措置体勢にスムーズに移行することを保証する、産業界その他に対しては可能な限り「確かさと明確さ」をもたらしたい、専門的知見や資源の共有で最大限の恩恵が得られるよう、原子力関係の研究開発で協働する--である。また、英国とユーラトム、および第三国間の民生用原子力産業通商における障壁を最小限とする、熟練した原子力作業員や研究者に対して移動の自由を保証する、規制面の協力や緊急時計画など一層幅広い分野で協働する--も挙げている。

 次に、保障措置関連の交渉方針として、英国は国際原子力機関(IAEA)を通じた国際的な義務事項と釣り合った保障措置体勢を国内で構築するため、次のことを実行に移すと明言。まず、IAEAと結んだ「自発的協定」に基づき、英国における主要な保障措置取り決めを設定する、IAEAと合意済みの義務事項を遵守する上で責任を担うとした。また、新たな保障措置体勢の設定も含めて、新しい取り決めにスムーズに移行できるよう欧州委員会(EC)と緊密に連携する点も強調した。

核物質関連の交渉方針については、早期の解決が求められる法的問題や契約上の課題が英国とEU双方に山積している事実に言及。特殊な核分裂性物質すべての所有権を法的に明確化することが重要だとしており、ユーラトム所有の核物質が英国の離脱時点で英国領土内にある場合は、その使用権と消費権を持つ人物か事業体に所有権を移す。その逆に、英国法人所有の核物質がユーラトム圏内に残された場合は、英国側に輸出されるとしている。また、英国とEUの事業者間で結ばれた核燃料の供給契約は、ユーラトム供給局とECが承認済みなら、そのまま有効とする方針。使用済燃料と再処理後の放射性廃棄物に関しても、適切な取り決めで合意することが必要で、どちらもこれまで通り、発生国が安全管理の責任を負うことを明確にしたほか、再処理後の廃棄物を発生国に返還する英国の権利は、離脱交渉から何の影響も受けないとしている。