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2050年を見据えた「エネルギー情勢懇談会」が始動

2017年8月31日

 温室効果ガス削減のための新たな国際枠組み「パリ協定」を踏まえ、長期的なエネルギーの将来像について議論する経済産業大臣主催の「エネルギー情勢懇談会」の初会合が8月30日に行われた。地球温暖化対策と経済成長を両立させながら、「2050年までに80%の温室効果ガスの排出削減」の目標に向け、あらゆる選択肢を追求すべく有識者から幅広く意見を求めるもの。一方、2030年を視点とするエネルギーミックスについて議論する総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会も8月9日に始動しており、両会合ともに概ね年度内を目途に取りまとめを行う運び。
 「エネルギー情勢懇談会」の初会合ではまず、資源エネルギー庁が東日本大震災以降のエネルギー情勢を巡る変化および論点を整理した上で、2050年へ向けたエネルギーを取り巻く世界の情勢を見極め、「技術革新・人材投資・海外貢献で世界をリードできる国、制度、産業としての総合戦略を構想していく」との方向性を示した。
これを受け、震災後のエネルギー政策見直しを検討した総合資源エネルギー調査会の基本問題委員会に参画していた枝廣淳子委員(東京都市大学環境学部教授)は、当時の国民的議論を振り返り、地域や市民の視点から「色々な人たちと議論」がなされることを求めた。
 また、中西宏明委員(日立製作所会長)は、国内では電力需要が減少傾向にあり、一方で、海外市場についても、新型原子力プラント開発におけるトラブルから投資を手控えする動きがあることなど、メーカーサイドから見たエネルギーを巡る問題点をあげた上で、「バラバラではなく全体を俯瞰しながら議論する必要」を訴えた。
 福島第一原子力発電所事故に関する「民間事故調」を立ち上げた船橋洋一委員(アジア・パシフィック・イニシアティブ理事長)は、原子力発電所の再稼働に対する根強い反対意見があることを指摘した上で、長期的な日本のエネルギー政策の議論に向け、「多様性」を重要な視点としてあげるなどした。
 基本政策分科会長を務める坂根正弘委員(小松製作所相談役)は、「今生まれた子供が生きている間に石油は間違いなくなくなる。ガスもなくなる。石炭だけがわずかに残る」と、化石燃料の枯渇に危機感を述べたほか、現在の再生可能エネルギー技術について、2050年で実用化レベルに達するには「今芽が出ていないといけない」などと、まだ代替エネルギーにはなりえないことを強調した。
 この他、白石隆委員(アジア経済研究所所長)が新興国の技術革新や中東の政情不安定化について、五神真委員(東京大学総長)が人材育成やビッグデータの活用などについてそれぞれ意見を述べた。
 委員からの意見を受け、世耕弘成経産相は、「地政学、地球温暖化、企業経営戦略など、多面的な議論が必要」などと述べ、今後有意義な議論がなされることを期待した。
 次回会合では海外有識者からのヒアリングを行う。