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原産協会が出前講座、グループワークで高レベル放射性廃棄物処分問題の解決法を探る

2017年9月29日

 原産協会は9月22日と26日の両日、東京都市大学工学部原子力安全工学科の核燃料工学を履修する約20名の3年生を対象として、「一緒に考えませんか、高レベル放射性廃棄物処分のこと」をテーマに出前講座を行った。本講座は、原産協会が講師を派遣して日本のエネルギー事業や環境保全、地層処分などについて説明し、学生たちに原子力エネルギーのあり方について考えてもらうもので、今年で12年目。今年度後期の「出前講座」は同学を手始めに、今後も全国の大学や高等専門学校において、次世代を担う若い方々を対象として行われる予定である。

エネルギーの基本情報を提供

 22日は、原産協会地域交流部武田精悦氏が、エネルギー・環境問題を考えるにあたっての基本情報を提供した。世界のエネルギー消費量が増え続ける中、電源供給について「S(安全)+3E(供給安定性、経済性、環境保全)」の観点から考えていく必要があり、国は2030年時点のエネルギーミックスとして原子力発電比率を20~22%とし、新しいエネルギー技術開発も進めていくという立場を示していることを説明。原子力発電により発生する高レベル放射性廃棄物に関しては、人間の管理が及ばなくなったり忘れ去られたりしても安全性が確保される最も実現性が高いシステムとして、地層処分が国際的に選定されており、原子力の恩恵を受けた現世代が処分の道筋をつけなければならないが、日本はまだ処分地の調査をする前の段階であるとの状況を提示した。
 学生からの次世代エネルギーの実現性に関する問いに対しては、全ての面で完全かつ最適なエネルギーは今日存在せず、徹底した効率化を大前提としてエネルギーミックスを図りながら開発を進めていくのが最善策と回答した。
 26日には、学生たちが3つのグループに分かれ、22日の講義内容や各自が調べた情報などを踏まえて高レベル放射性廃棄物処分の概念や安全性についての疑問点を議論した上で、さらに知りたいことを講師に質問した。「ガラス以外の物質で固化体をつくる方法は検討されたのか」との問いには、「オーストラリアで合成岩石中に閉じ込めるシンロック固化法が研究されていたが、実用化には至らなかった」との例を示した。「他国での合意に至った例をもっと詳しく知りたい」との要望には「フィンランドやスウェーデンなど処分地選定が進んでいる国の共通点は、国が国民からの信頼を得ていること」との情報を加えた。

高レベル放射性廃棄物処分問題についてグループ発表

 この後、高レベル放射性廃棄物処分問題を解決していく方法について、グループごとに模造紙や付箋にアイディアを書き込みながら、それぞれの考えを話し合った。最後に行われたグループ発表では、「住民との対話を進める前に、地層処分についてきちんと理解できるよう十分に説明を行うことが必要」、「地層処分の取り組みとともに、高レベル放射性廃棄物を減容化するための技術開発も進めていくべき」、「原子力発電の恩恵を受けてきたことに感謝し、進んで処分地候補に手を挙げるような姿勢が望ましい」、「国土が広い他の国などと協力して処分地を探してみてはどうか」などの意見が出された。
 東京都市大学の松浦治明准教授は、「数百年先はわからないが、現時点で自国の高レベル放射性廃棄物は自国で処分するという決まりがあり、国外に処分するとしたら相当な議論が必要だろう」と述べたほか、高レベル放射性廃棄物の量を減らす努力はすべきだと語った。今後も同学では核燃料サイクルの講義が続けられる。