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核融合エネルギー開発について考えるシンポ開催、ビゴITER機構長招き

2017年10月3日

 ITER(国際熱核融合実験炉)機構長のベルナール・ビゴ氏を招き、国際協力で取り組む核融合エネルギー開発の意義について考えるシンポジウムが10月2日、都内で開催された(=写真)。
 ITER計画は、日本、欧州、米国、ロシア、中国、韓国、インドの7極の協力のもと、環境負荷が少ない恒久的なエネルギー源として期待される核融合エネルギーの科学的・技術的な実現可能性を実証するプロジェクトで、フランス・カダラッシュにおいて、2025年の運転開始(ファーストプラズマ)を目指し建設作業が進捗している。文部科学省の作業部会ではこのほど、ITERを踏まえ安定した電気出力を実証するための原型炉開発に向けて検討結果を取りまとめたところだ。
 ディスカッションに先立ち来賓挨拶に立った林芳正文科相は、「人類社会に多大な恩恵を与えるエネルギーとして世界で注目されている」などと、核融合エネルギーの意義を強調した上で、ITER計画における日本の貢献や、続く原型炉の実現に向け、産学官の連携が着実に図られることを期待した。
 ディスカッションではまず、ビゴ氏がITER計画の技術目標として、「プラズマを数百秒維持する」のは大変な困難としたほか、環境影響や機器の安全性についても実証しなければならないなどと、さらなる課題がある現状を述べた。
 ITERで日本が分担する超伝導トロイダル磁場コイルは、高さ14m、幅9mの大型構造部材だが、この製作に関し、日本電機工業会専務理事の海老塚清氏は、「プラズマを安定的に閉じ込めるため、許される誤差はわずか1mm以内」と、極めて高い精度が要求されることを述べた上で、「非常にチャレンジング。実現を目指し企業の力は向上していく」と、核融合エネルギー開発に取り組む意義を強調した。
 また、量子科学技術研究開発機構核融合エネルギー研究開発部門長の森雅博氏は、核融合エネルギー開発を国際協力で進める利点として、(1)最先端の知見活用、(2)予算的制約の克服、(3)各国の文化の壁を越えた国際平和への貢献――をあげる一方で、日欧間の研究活動に関わった経験から、「時として負のスパイラルに陥ることもある。解決にはコミュニケーションしかない」などと、信頼関係を築く重要性を述べた。
 2007年に発足したITER機構だが、その機構長として、初代・池田要氏(元科学技術庁科学審議官)、2代目・本島修氏(元核融合科学研究所長)と、8年余りを日本人が務めた。3代目機構長となったビゴ氏は、「協定上日本の費用分担は9%だが、人材は3%以下に過ぎない。ITER計画はあらゆる分野で経験豊富な科学者を必要としている」と述べ、日本に対し人材面でのさらなる貢献を求めた。