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第34回日韓原子力専門家会合開催 廃炉時代へ知見を共有

2017年10月17日

 日本原子力産業協会(原産協会)と韓国原子力産業会議(KAIF)が主催する「第34回日韓原子力専門家会合」が10月16日、都内で開催された。両者は1979年以来「日韓原子力産業セミナー」を行っているが、今回より日韓双方における共通テーマに絞って、より深く情報交換や議論を行う場として開催し、「廃炉措置」をメインテーマとして発表および活発な意見交換が行われた。
 日本側からは、福島第一原子力発電所の廃炉について、宇宙線ミュオンによるデブリ位置検知の写真や遠隔操作ロボットのカメラで撮影した炉内の動画など、デブリ取り出しに向けた技術開発について説明。また、避難解除が進み活気を取り戻してきている福島復興の状況や、被災地の家の片づけなど東京電力のボランティア活動の取り組み等を紹介した。また、通常廃炉の参考事例として、加圧水型原子炉(PWR)である美浜発電所1・2号機廃止のための系統除染工事計画や、沸騰水型原子炉(BWR)である福島第一原子力発電所3号機の約20年前のシュラウド交換経験などを説明した。
 韓国側からは、6月に永久閉鎖した古里1号機原子炉容器炉内構造物の解体にあたってのステンレス切断技術法の選定経緯や、韓国原子力研究院(KAERI)の研究炉KRR廃止にともなう放射性廃棄物の輸送時の状況などについて説明。月城中低レベル放射性廃棄物処分センター(WLDC)の概要や運用計画なども紹介した。
 高橋明男原産協会理事長がモデレーターを務めたトピカルセッションでは、日韓双方より、原子力発電所の地震対策について発表があった。東京電力ホールディングス原子力設備管理部の古谷賢氏は、柏崎刈羽原子力発電所における耐震性向上に向けた対策について紹介し、動的設計と静的設計の両方を取り入れて耐震設計の多様化を図ることや耐震重要度の低い設備においても波及的影響まで考慮して入念な対策をすることの大切さなどを語った。韓国水力原子力会社(KHNP)のチェ・ジェギル・ハンビット(霊光)原子力発電所3号機ユニット長は、2016年に起こった慶州地震後の耐震対策として、シャットダウンシステムや地震モニタリングを強化し、複合的災害対応センターを設置する計画について述べた。

高橋原産協会理事長

 議論を終えて、KAIFのカン・ジェヨル常勤副会長は、天野之弥国際原子力機関(IAEA)事務局長が「安全は常に最優先事項」と語るスピーチ動画を取り上げ、原子力安全に関して日韓間の議論を進めたいと提案した。高橋原産協会理事長は、廃止措置や解体については廃炉時代に入った日韓両国にとって時宜を得たテーマであり、有意義な意見交換をすることができたと締めくくった。
 韓国側の訪日団は17日より、福島第一原子力発電所および女川原子力発電所、新型転換炉「ふげん」と美浜原子力発電所および第一カッター興業を視察する。