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スイスの世論調査:CO2を排出する火力での原子力代替は75%が望まず

2017年10月27日

 2034年までに段階的に脱原子力を達成すると決めたスイスにおいて、国民の75%がCO2を排出する石炭火力発電所からの輸入電力でクリーンな原子力を代替することを否定していることが10月26日に判明した。ベツナウ原子力発電所を所有・運転するAXPO社が、世論調査機関のgfsベルンに委託した調査の結果を公表したもので、脱原子力を盛り込んだ「2050年までのエネルギー戦略」は国民の59%がこれまで通り支持しているものの、「短期間での達成」を望んでいるわけではないとした。また、少なくとも再生可能エネルギーで十分な電力供給が確保されるまでは、原子力発電所の運転継続に「強く同意」する人と、「どちらかと言えば同意」する人の割合が74%に達しており、エネルギー戦略の遂行におけるスイス国民の実用主義的な側面が明らかになったとしている。

 スイスではこの「エネルギー戦略」を反映する改正エネルギー法の是非について、今年5月に国民投票が行われ、過半数の58.2%が賛成票を投じた。これを受けて、同法案は2018年初頭に発効する見通しとなり、スイスの商業炉5基は約50年の平均的運転期間を終えたものから順次閉鎖。化石燃料の輸入量削減や国産再生可能エネルギーの開発促進といった具体策が実行されることになった。ただし、ミューレベルク原子力発電所を所有するBKW社は、同発電所の運転継続にともなう様々な影響を考慮し、同発電所を運転開始後47年目の2019年12月で閉鎖する方針を2016年3月に公表している。

 国民投票の実施後、約半年が経過した時点の国民世論を探るため、gfsベルンは10月11日~20日までの期間、約1,000人の国民に対し、同エネルギー戦略に関する電話インタビューを実施した。。それによると、7割以上の回答者が石炭火力で原子力を代替すべきでないとしたのに加え、49%は「ガス火力発電所をスイスで新たに建設すると、温室効果ガスの排出量抑制で目標の達成が危うくなる」と回答した。また、半数を超える54%が「輸入電力量を減らせるのであれば、国内の発電電力に今以上の料金を支払ってもよい」との見解を提示。「少なくともエネルギー源の移行期間中は、政府が水力と原子力に補助金を出さねばならない」とした人の割合も、64%にのぼったことが判明した。

 gfsベルンの分析では、発電用エネルギー源の転換に対するスイス国民の態度は極めて実用主義的で、明らかに過半数を超える回答者が「長期的に見て、国内の発電量だけで需要量の大部分をカバーしていくことはできない」と見越していた。その一方で、「スイス国内の発電量を増やしたい」とする国民の数も半数以上に到達。冬場には輸入電力への依存度が一層高まり、停電の機会も多くなると理解していることも明らかになっている。