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米ニュージャージー州議会で原子力発電所支援法案が提出

2017年12月18日

米ニュージャージー(NJ)州議会の上下両院で12月14日、早期閉鎖のリスクに直面する原子力発電所の支援を目的とした法案(S3560号とA5330号)が提出された。
電源の多様化とCO2の排出量削減に貢献する有資格の原子力発電所に対し、発電量に応じて追加のクレジットが電気料金から支払われるという「原子力多様性認証(NDC)」プログラムの設置を州の公益事業委員会に命じる内容。イリノイ州とニューヨーク州では、2016年に同様のプログラムが採択されており、早期閉鎖が予定されていたクリントン原子力発電所やクアド・シティーズ原子力発電所で運転継続が決定した。NJ州でNDCプログラムが設置された場合、州内のセーレム発電所などで3基の原子炉を所有するパブリック・サービス・エンタープライズ・グループ(PSEG)が、同プログラムの適用を申請すると見られている。S3560号法案は20日に上院の環境エネルギー委員会で2回目の審議が行われるほか、A5330号法案は同じ日に下院の電気通信・公益事業委員会でヒアリングが行われる予定である。

 同法案によると、NJ州は伝統的に、原子力を含めた多様なエネルギー・ミックスで顧客のエネルギー需要を賄っている。2015年12月に州のエネルギー基本計画を改定した際、2050年までに州内の電力需要の70%までをクリーン・エネルギー源で満たすとの勧告が盛り込まれた。原子力は現在、州内の電力需要の約4割を発電しており、化石燃料への依存を軽減するとともに、クリーン・エネルギーに移行する上で非常に重要な無炭素電源という位置付け。エネルギー源の多様化という面からも、重要な構成要素に認識されているとした。
 その原子力が近年、様々な要因により早期閉鎖のリスクにさらされているものの、閉鎖分を再生可能エネルギー源でカバーすることは出来ないと同法案を発起した議員は予測。短期的にはLNGと石炭の発電量を増やして需要を満たすことになるが、それにともない州民や環境への悪影響が拡大することへの懸念を表明している。CO2が発生しないという恩恵への見返りとして、一部の再生エネなど低炭素エネルギー源にクレジットを提供するモデルは、同州では成功裏に機能することが立証済み。そのため、原子力発電所の閉鎖が防げる程度に同様の見返りを与えるプログラムは、NJ州における環境保全と多様なエネルギー・ミックスの維持に、一層資することになると強調している。

 同法案では、以下の条件を満たした原子力発電所にNDCプログラムが適用される。すなわち、

(1)法案成立日までの期間と2030年までの期間、あるいはそれ以降も稼働する認可が原子力規制委員会(NRC)から与えられている。

(2)州内電源ミックスの多様化、および自然災害等のダメージから送電網を回復させる力という点で、実質的に多大な貢献をしている。

(3)州内の電力消費にともなうCO2排出量を最小限に抑えるなど、NJ州の大気質改善に多大な貢献をしている。

(4)早期閉鎖せざるを得ない状況にあることを示した財務情報を提示できる。

(5)ほかの州法や連邦法および地域契約に基づく支払いを、重複して受け取っていないことを毎年、証明する。

(6)公共事業委がNDCプログラムを運営する際に発生する経費を、申込金として支払う。

--などである。

 これらについて公共事業委が有資格と認めた原子力発電所の事業者は、1kWhあたり0.004ドルのクレジットを小売り電力料金の中から受け取ることができるが、この価格は公共事業委が毎年改定する。また、有資格と認定された最初の1年間とその後の追加3年間、NDCプログラムの適用を受けた後は、公共事業委がさらに追加3年間の適格性について3年毎に審査を行うとしている。