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英ロールス・ロイス社、SMR実証モジュールの開発契約を締結

2018年2月2日

SMRの設置予想図©ロールス・ロイス社

 英国のロールス・ロイス社は2月1日、風力や太陽光よりも競争力のある英国型・小型モジュール炉(SMR)の実証モジュール開発で、「先進的原子力機器製造研究センター(N-AMRC)」と契約を締結したと発表した。
 同社は英国でSMR原子力発電所を設計するための国内企業連合を率いており、実証モジュールの開発を通じて、英国型SMR発電所の製造・建設と運転期間全般に関わるコストや開発プログラムの確実性について、初期段階の設計原則を確立する計画。英国がCO2の排出抑制目標を達成する一助となるよう、低炭素・低コストなSMR設計を開発する考えだ。

 ロールス・ロイス社は原子力潜水艦用原子炉製造プログラムなどに携わってきたが、民生用原子力市場の将来的な成長を見込み、本格参入するための専門事業ユニットを2008年に設置した。発電システム事業は原子力事業とともに同社の主要5事業に含まれており、高性能な発電システムの市場においてリーダー的地位を獲得することを目標としている。
 同社が主導する英国型SMRでは、1MWhあたり60ポンド(約9,400円)という低コストで、信頼性のあるエネルギー供給を実現する方針。モジュール工法という革新的アプローチにより、大型炉の建設プロジェクトにありがちな複雑な建設工事や建設期間の長期化、および経費の増加といった問題を回避できるとしている。また、同SMRの輸出も検討中で、ロールス・ロイス社は昨年11月、ヨルダンで同社製SMRを建設する技術的実行可能性調査の実施に向け、ヨルダン原子力委員会と了解覚書を締結した。

 N-AMRCは、英国で原子力サプライ・チェーンを再開発・強化することを目的に、英国政府が2012年に産官学の連携により設立した機関。実証モジュールの開発は、チェシャー州バーケンヘッドにある新しいモジュール製造研究施設で行われることになる。同施設では現在、複数のSMR建設に必要な、広範囲のモジュール化技術を開発・評価中であり、ロールス・ロイス社のSMR開発企業連合との協力においては、SMR発電所の製造・組立・運転で大幅に経費を削減する可能性のある技術を使い、モジュール化の物理的側面やデジタル面を探求するとしている。

 英国政府は2016年3月、SMRの開発と商業化および資金調達に関する市場の関心把握を目的に、英国にとって最適な価値を有するSMR設計の特定コンペに着手。SMR技術の開発事業者や電気事業者、潜在的投資家から関心表明(EOI)を募るとともに、SMR開発ロードマップを作成する方針を明らかにしていた。しかし、2017年7月になるとT.メイ政権が発足し、前政権が開始したコンペについては同年12月、終了とする考えを表明。ロールス・ロイス社の英国型SMRも含め、33の設計から成る「第1段階において適格な開発事業者・プロジェクトのリスト」を公表したが、この段階でこれ以上の絞り込みを行わなかったことを付記している。