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米トランプ政権の2019年度予算、ユッカマウンテン関連で再び要求

2018年2月15日

 米国のD.トランプ政権は2月12日、議会に対して2019会計年度(2018年10月~2019年9月)の予算教書を提出した。ネバダ州ユッカマウンテンにおける使用済燃料最終処分場の建設計画関連に2018会計年度予算教書と同額の1億2,000万ドルを充てているほか、小型モジュール炉(SMR)を含む新型原子炉技術についても初期段階の研究開発に5,400万ドルを計上した。ユッカマウンテン関係では、米原子力規制委員会(NRC)も支援活動経費として約4,800万ドルを議会に提案。同計画の復活に原子力産業界の期待が高まっているが、ネバダ州知事は同日、これには断固反対し続けるとの声明文を発表している。
 
 同予算教書のうち、原子力を管轄するエネルギー省(DOE)分としては、2017年度レベルから約3%減の合計306億ドルが計上された。DOE予算の主眼は国家安全保障と経済成長の促進に置かれており、信頼性のある適正価格のエネルギー供給を目的に、革新的な科学技術に対して戦略的投資を行う方針である。国内の多様かつ豊かなエネルギー資源を背景に、トランプ大統領が長期目標として掲げた「米国によるエネルギー支配」を達成する考えで、エネルギー技術に関する初期段階の研究開発(R&D)に、優先的に連邦政府予算を投入。一方、技術の実証・商業化段階における資金調達はできるだけ民間セクターに委ねたいとしている。

 このため、約17億ドルを計上した応用エネルギー・プログラム全体のなかで、信頼性と回復力の高い統合型エネルギー・システムや次世代技術を民間セクターで開発できるよう、初期段階の研究開発を支援するとした。このうち7億5,700万ドル(2017年度レベルから2億5,900万ドル減)が原子力局の割り当てで、SMRや先進的な計測・製造方法など、新型原子炉技術の研究開発が優先的な支援分野。米国の原子力部門を再活性化・拡大するために充当された。
 また、省内の複数局が共同で進める「送電網の最新化イニシアチブ」に1億8,000万ドルを計上した。エネルギー貯蔵や再生可能エネルギー発電、電気自動車などと結びつく配電システムについて、信頼性や回復力の一層の向上を可能にする革新的技術と運用アプローチを継続的に開発していく。

 使用済燃料や高レベル放射性廃棄物(HLW)の管理・処分については、ユッカマウンテンの最終処分場建設と中間貯蔵施設関係で改めて1億2,000万ドルを計上した。ここでは、最終処分場の建設認可申請審査の再開、および原子力発電所敷地内にある使用済燃料を早期に引き取る能力の開発を目的に、確実な中間貯蔵プログラムの策定を目指すとしている。

 この関連で、NRCも2019会計年度の総予算要求額9億7,100万ドルのうち、4,800万ドルをユッカマウンテンにおける使用済燃料とHLWの経費として計上した。NRCは独立の立場を有する連邦機関であるため、運営予算の90%は原子力許認可の取得者や申請者が支払う手数料で賄われる。これらは財務省に直接振り込まれ、議会がNRC予算として承認して、初めてNRCに割り当てられる。このため、2019年度の予算要求額のうち、連邦政府予算から実際に歳出される金額は1億5,500万ドルほど。NRCの2019年度予算は前年度より6,000万ドル増加しているが、その大半がユッカマウンテン関係の4,800万ドルと新型原子炉技術の規制インフラ開発予算の1,000万ドルである。

 しかし、建設認可申請審査の再開経費が計上されたことについて、ネバダ州のB.サンドバル知事は「このような不適切な構想に、ほんのわずかでも投資する必要性があるとは全く考えられない」と表明した。同知事によると、世界で最も毒性の高い物質を安全に貯蔵する能力がユッカマウンテンにはなく、州内に放射性廃棄物を廃棄する試みにはこれからも反対し続けると断言。失敗に終わった構想が復活することがないよう、あらゆる手段を講じるとの考えを明らかにした。