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エネ調原子力小委、全原協渕上会長らを招き立地地域への支援や防災対策について議論

2018年2月21日

 総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会(委員長=安井至・持続性推進機構理事長)は2月20日、全国原子力発電所所在市町村協議会(全原協)会長の渕上隆信氏(敦賀市長)らを招き、立地地域への支援や防災対策について議論した。
 渕上氏は、原子力発電所の長期運転停止などにより、地域経済が低迷している立地地域の現状を憂慮し、自立的な発展に向けて敦賀市が新たに取り組んでいる事例として、敦賀港などを地域資源とした広域的地域間協調を実現するための「ハーモニアスポリス構想」を披露した。こうした立地地域の取組に対し、国による財政的支援の維持・拡充が必要であるとするとともに、長年の国策に対する理解・協力の一方で、原子力発電所の再稼働が進まず「本来の役割を果たすことなく止まっている」状況などから、確固たるエネルギー政策・原子力政策を示すことが「何よりの支援」と訴えかけた。また、原子力防災対策に関して、渕上氏は、「立地地域にとって重要な問題」とした上で、複合災害も考慮した対策は「一市町村ではできない」、全原協として昨夏政府に要請書を提出した避難経路の整備については「もう待てない」などと述べ、早急な取組が図られるよう要望した。
 立地地域への支援に関連し、人口問題に詳しい増田寛也委員(野村総合研究所顧問)は、全国的な人口減少傾向の中、特に立地地域では高齢化も進んでいる現状について触れ、医療保険制度も含め政府全体での取組が必要なことを強調した。また今後の産業活性化に向けては、IoTの活用など、「従来構造にとらわれない」考え方が有用だとした。事業者の立場からは、電気事業連合会原子力開発対策委員長の豊松秀己専門委員が、地域企業と共存してきた経緯などを振り返り、「国策に寄り添ってきたという原点に立ち返って支援策を議論すべき」と述べた。
 防災対策の関連で、国立保健医療科学院健康危機管理研究部長の金谷泰宏氏が招かれ、放射線災害時の保健医療対策として、住民避難やヨウ素剤配布のあり方などを説明したのに対し、災害医療に詳しい越智小枝委員(東京慈恵会医科大学臨床医学講座講師)は、屋内退避や避難長期化の問題に言及し、「その地域のインフラが止まってしまう。避難指示を出す際は、いつまで続くのかという避難指示解除計画も合わせて必要」などと指摘した。
 今回の会合では、立地地域への支援や防災対策について、資源エネルギー庁がそれぞれ今後の取組の方向性を整理し説明した。その他にも委員からは、今後の廃炉進展を見据え、「エネルギー拠点としての再構築には事業者が責任を持って取り組むべき」、「現場の人材育成の支援も抜け落ちることなく」、福島第一原子力発電所事故の経験を踏まえ、「被災地の声をよく聴くべき」、「損害賠償のノウハウを蓄積しておく必要がある」といった意見があった。