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エネ庁「学生フォーラム」、地層処分問題解決に向け「若い人たちのアイデアを」(1)

2018年3月15日

 高レベル放射性廃棄物の処分問題に若い人たちの考えを反映する「学生フォーラム」(資源エネルギー庁主催)が3月13日、上智大学四谷キャンパス(東京・千代田区)で行われ、経済産業省の学生向けfacebookを通じ関心を寄せた学生ら10数名が集まり、処分地選定に向けた理解活動のあり方や地域振興のアイデアなどを出し合った。
 「経済産業省に政策提言!」と題する本イベントの開会に際し、資源エネルギー庁放射性廃棄物対策広報室長の吉村一元氏は、「電気の恩恵を受けてきたわれわれの世代で何とか解決したい」と、問題を先送りできない現状を強調した上で、「若い人たちから見た率直なアイデアを」と、今後長期にわたるプロジェクトに向けて、解決の道筋が得られることを期待した。

地層処分の肯定・否定で討論するディベート教育から
 日本では、高レベル放射性廃棄物を地下300m以深に地層処分することとしており、昨夏、「地層処分についての国民理解促進」を第一の目的として、全国地図を科学的・技術的観点による地域特性で色分けした「科学的特性マップ」が提示された。

地層処分を論題としたディベートについて発表する千葉大の学生

 「学生フォーラム」では、今後の国民理解活動のあり方に資するものとして、千葉大学の「ディベート教育論」の受講学生が、「地層処分計画を全廃し、地上での管理を義務付けるべき」との論題に対し、肯定側と否定側とに分かれた討論試合について発表した。それによると、肯定側が、再処理に伴うリスクや輸送にかかる費用などを理由に「各原子力発電所で使用済み燃料をキャスクに入れて乾式貯蔵する」と主張したのに対し、否定側(地層処分計画の維持)は、「地上にあるとテロの標的になる」、「地上管理はコストは安いが事故が起こった場合の費用は多大」などと主張し論破したとしている。
 さらに、肯定側が、運搬に伴うリスクや遠隔操作技術が未開発であることを理由に「六ヶ所村の施設でガラス固化体を貯蔵し続ける」と主張したのに対し、否定側は、「地上管理は人的ミスによる事故が起こる可能性」、「地層処分はオクロの天然原子炉の例があるように閉じ込め性が高い」などと主張し、こちらも現状の地層処分計画を維持する否定側に軍配が上がったとのことだ。

NIMBY問題を分析し「社会的特性マップ」を披露
 高レベル放射性廃棄物の最終処分場の必要性は認識されつつも、一方で、NIMBY(Not In My Back Yard、「わが家の裏庭には御免」)の問題もある。上智大学の学生グループからは、高レベル放射性廃棄物処分場に特有の拒否要因を、他のNIMBY施設との比較を通じ定量的に分析した結果などから、受入れへの障壁を究明しまとめた政策提言「最適な合意形成を目指して」が発表された。他のNIMBY施設としては、産業廃棄物処分場、刑務所、原子力発電所、化学工場を取り上げ、市民がその受入れ判断時に重視することとして、公共性、手続きの正当性、安全性、賛成多数重視、事故時の補償など、13項目から分析したところ、最終処分場では、特に安全性について他と有意な差がみられたとしている。

「社会的特性マップ」を披露する上智大の学生

 この他にも、学生グループは、日本原子力文化財団による調査結果などを用いた実証分析を行い、最終処分場受入れへの障壁として、「未来への不安」、「手続きの正当性」、「情報の公開」と結論付けた上で、政策提言(1)選定後を見据えた双方向リスクコミュニケーション制度、(2)社会的特性マップ、(3)交付金制度改正と支援策――を取りまとめた。
 その中で、処分事業を推進する国・原子力発電環境整備機構と住民との双方向リスクコミュニケーションに関して、住民の未来への不安や事故時の補償などを課題ととらえ、制度を管轄する機能を原子力規制庁に新設することを提案している。また、(1)人口密度、(2)第一次産業従事率、(3)民有地・自然公園面積、(4)財政力指数、(5)観光客数――の5つの社会的要件を数値化し、適性を3段階に色分けした「社会的特性マップ」を披露し、これと「科学的特性マップ」を合わせ、調査申し入れ先の選定に際し「納得感向上」を図ることを提案した。
 学生による政策提言を踏まえ、「学生フォーラム」では続いて、市町村を模擬した3グループに分かれ、処分場受入れに向けた住民説明会を想定し、それぞれの「町づくり」を発表した。次回に紹介したい。 (続く)