フォントサイズ:

エネ調基本政策分科会、今夏取りまとめに向けエネルギー基本計画見直しの骨子案示す

2018年4月27日

 総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会(分科会長=坂根正弘・小松製作所相談役)は4月27日、エネルギー基本計画見直しの骨子案について議論した。前回会合でまとめた2030年を見据えたエネルギーミックス実現への対応整理を踏まえ、最近のエネルギーを巡る情勢変化、施策の深掘りとともに、2050年に向けた長期戦略について述べる構成となっている。温室効果ガス排出削減の国際枠組み「パリ協定」に関連し、「2050年に80%減」との目標達成に対応すべく、エネルギー情勢懇談会が10日に提言を取りまとめており、これを盛り込んだもの。
 骨子案では、現行のエネルギー基本計画を踏まえ2015年に策定された2030年エネルギーミックスについて、「着実に進展していると評価できるものの、道半ばの状況」とした上で、基本的な方針は堅持し、施策の深掘り・対応強化で実現を目指すとしている。原子力については、引き続き、「優れた安定供給性と効率性を有しており、運転時には温室効果ガスの排出のない重要なベースロード電源」と位置付け、「依存度については、省エネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電の効率化などにより可能な限り低減させる」との方向性が示された。また、同調査会の原子力小委員会の議論を踏まえ、「原子力政策の再構築」の項目が設けられ、社会的信頼の獲得に向け総合的取組に努めていくことが述べられている。さらに、2050年に向けては、「実用段階にある脱炭素化の選択肢」と位置付けられる一方、「経済的に可能な限り脱炭素化した再生可能エネルギーの拡大を図る中で、可能な限り依存度を低減」とされた。
 エネルギー情勢懇談会の議論にも参画した坂根分科会長は、「究極の課題は、化石燃料がなくなる前に代替エネルギーを見つけ、枯渇をできるだけ先伸ばしにすること。再生可能エネルギーだけで代替できるとは到底思えない」とした上で、核燃料サイクルも含めた原子力利用は「ギブアップすることはできない」と、その必要性を強調した。さらに、毎年COP会議に参加し長く地球温暖化問題に係ってきた経験も踏まえ、「温暖化問題は化石燃料の枯渇まで持ちこたえられない」と警鐘を鳴らし、2050年を展望し「原子力依存度の低減というが、温室効果ガスの8割減はとてもできるとは思えない。30年ミックスは50年に向けた『一里塚』」と、エネルギー政策と地球温暖化問題とが融合した議論を希求した。
 委員からは、メーカーの立場として、水本伸子委員(IHI常務執行役員)が、原子力発電プラントの建設に係った経験者が近年リタイアしつつある現状などから、技術継承の危機感を述べ、新増設検討の必要性を示唆した。また、橘川武郎委員(東京理科大学イノベーション研究科教授)も、原子力が「脱炭素化の選択肢」たる上で、現在運転中の39基のプラントすべてが60年まで運転期間を延長しても、2050年には18基と、急速に規模が縮小していくことを指摘し、新増設と依存度低減を合わせた議論の必要性を訴えた。
 原子力立地地域の立場から、西川一誠委員(福井県知事)は、バックエンド問題の停滞などを例に、「具体的プロセスが見えてこない」と憂慮し、エネルギー政策に対する国の明確な姿勢を求めた。
 この他、2050年シナリオに関連し、「地域の個性を活かし『地域創生』へ。国民とのコミュニケーションも厚く」(崎田裕子委員〈ジャーナリスト・環境カウンセラー〉)、「技術自給率を維持するよう、海外に負けない施策の動機付けを」(工藤禎子委員〈三井住友銀行常務執行役員〉)といった意見があった。
 エネルギー基本計画見直しは今後、6月にかけて最終取りまとめに入る運びだ。