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米エネ省、軍用深地層処分場で新たな換気システムの着工 承認

2018年5月18日

©DOE

 米エネルギー省(DOE)は5月14日、ニューメキシコ(NM)州にある軍用・超ウラン元素(TRU)廃棄物の深地層処分場で地下655mに位置する「廃棄物隔離パイロット・プラント(WIPP)」(=写真)に、新たな換気システム「SSCVS」を地下655mの設備に建設することを承認したと発表した。
 安全上、重要な役割を担っている閉じ込め施設の主要インフラを、2億8,800万ドルをかけてアップグレードすることにより、全米のDOE施設から一層多くのTRU廃棄物を受け入れることが可能になると強調。過去数10年間の核兵器生産や原子力研究にともなう廃棄物の環境問題で、DOEの取り組みにさらなる進展が見込めるとしている。

 WIPPは核兵器の生産・研究で発生するTRU雑固体廃棄物を永久処分するため、米国が初めて建設した深地層処分場。NM州カールスバッドの地下に存在する安定した岩塩層に貯蔵室を掘削し、1999年3月から廃棄物の受け入れを開始した。環境保護庁(EPA)の承認の下、DOEから管理業務を請け負ったニュークリア・ウェイスト・パートナーシップ(WNP)社が、NM州政府の許可を10年毎に更新しながら操業している。
 2014年2月に地下設備内で小規模の運搬車両火災が発生したほか、州内のロスアラモス国立研究所から持ち込まれた廃棄物コンテナの破損により放射線漏れを検知したため、WIPPの操業は一時停止。DOEは2016年1月に、NM州政府と7,400万ドルの和解契約を結んでおり、WIPP近郊にオフサイト緊急時オペレーションセンターを建設・配備することや、地元の緊急時対応者の訓練と能力向上支援、廃棄物の輸送ルート改善などを約束した。翌2017年1月にWIPPの操業は再開され、同年4月に再開後初のTRU廃棄物を受け入れている。

 WIPPの説明によると、2014年の放射線漏れ以降、施設内の換気システムはフィルター・モードで運転されているため、空気の流量は低く抑えられている。このためDOEは、SSCVSを設置することにより、WIPP地下設備内の空気量を大幅に増やすことができると指摘。施設の掘削作業やメンテナンス作業を行いつつ、TRU廃棄物の定置作業を実施することが可能になるほか、フィルターの交換や予防保全活動も格段に容易になるとした。
 SSCVSの建設工事は2021年初頭にも完了する予定だが、WIPPが今後もDOEの除染プログラムにおいて不可欠という役割を担い続けられるよう、DOEはこの他にも複数のインフラ改善プロジェクトを実施する計画。WIPPでこれまでに処分されたTRU廃棄物の総量が、すでに9万立方m以上にのぼった点をDOEは強調している。