フォントサイズ:

日本総研、2050年の電力消費は16年比で2割減との試算

2018年5月22日

 日本総合研究所はこのほど、2050年の電力消費は7,268億kWh、2016年比で23.5%減と、1990年代初めを下回る水準まで減少するとの試算結果を発表した。同研究所調査部副主任研究員・藤山光雄氏の調査・分析によるもので、人口減少や省エネの進展が電力消費を大きく下押しするなどと予測し、「わが国は『電力需要減少社会』に向かうという大きな転換点を迎えている」と述べている。最近のエネルギー白書によると、日本の電力消費は、高度経済成長期を経て石油ショックの1973年度以降も着実に増加してきたが、2008年度から世界的金融危機の影響で生産が低迷し、企業向けを中心に減少傾向を見せている。
 今回の調査報告では、人口動態やさらなる省エネ余地などを踏まえ、2050年にかけての電力消費について、(1)製造業、(2)業務(第三次産業など)、(3)家庭、(4)運輸――の部門ごとに分析した。まず、近年の電力消費の減少傾向については、(1)総人口が2008年をピークに減少に転じた、(2)地球温暖化対策の強化を契機に電気機器の省エネへの取組が進んだ――という経済・社会環境の変化をあげている。その上で、部門ごとの電力消費について、製造業では電力小消費型業種へのシフトが続き概ね横ばいの推移が見込まれる一方、業務部門と家庭部門では人口・世帯数の減少や省エネ機器の幅広い浸透から大幅に減少するなどと予測した。
 例えば、家庭部門で世帯当たりの電力消費は、現在のエアコンと冷蔵庫がすべて最新の省エネ機器に置き換わった場合、エアコンで2~4%、冷蔵庫で10%程度、照明については、すべてLEDに置き換われば5%程度の削減が見込まれ、世帯数の減少と相まって、2050年の電力消費は2016年比で31.4%減となるとしている。
 資源エネルギー庁では今夏の最終決定に向け、2050年を見据えたエネルギー基本計画の素案を取りまとめたところだ。藤山氏は、調査報告の中で、長期的なエネルギー政策の検討においては、原子力発電の位置付けや再生可能エネルギーの導入目標など、「電力供給のあり方に注目が集まりやすい」とした上で、供給サイドに偏ることなく、電力需要見通しを巡る議論も活発に行われるべきと指摘している。
 新たなエネルギー基本計画の素案で、原子力は「長期的なエネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源」と位置づけられた。因みに、既存の原子力発電プラント(建設中は除く)がすべて60年まで運転期間を延長し、新増設がなく、設備利用率70%で運転するとした場合、2050年の原子力発電による総発電電力量はおよそ1,300億kWhとなる。