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ウズベキスタンが原子力発電所の導入でロシアと合意

2018年7月12日

©ウズベキスタン共和国政府

 中央アジアに位置する旧ソ連邦のウズベキスタン共和国は7月10日、同国初の原子力発電設備として120万kWのロシア型PWR(VVER)を2基、国内に建設することでロシア国営の原子力総合企業ロスアトム社と合意したことを明らかにした。

 化石燃料資源に恵まれた同国では、莫大な埋蔵量の天然ガスと石炭を保有。有効な外貨獲得手段である天然ガスは極力、輸出に向けているが、「これらを発電のためにだけ燃やし続けて枯渇させてしまうとしたら、後の世代に対する許しがたい犯罪だ」とS.ミルジヨエフ大統領は強調。世界でも最も安全かつ近代的な原子力発電所を2028年までに起動し、国家経済の成長や人口の拡大、および国民の生活水準向上に必要な電力の需要量増加に対処していく方針を明らかにした。
 建設サイトについては言及がなかったものの、同国政府はすでに昨年12月、原子力発電所と研究炉の建設を視野に入れた原子力平和利用分野の政府間協力協定をロシアと締結。有望な共同事業やプログラムの実施など、長期的な連携関係を構築する詳細事項について協議を続けていた。

 大統領の発言は、原子力発電の導入に向けた組織面、技術面の対応策について、同日に開催した会合で述べられたもの(=写真)。同会合によると、ウズベキスタンでは年間690億kWhの電力需要があり、その約85%を天然ガスと石炭火力で賄っている。残りの15%は水力発電だが、天然ガスの消費量は年間165億立法メートル、石油は8万6千トン、石炭は230万トンに及んでいる。
 原子力発電所を導入することにより、同国政府は約37億立法メートルの天然ガスを節約できると予測。天然ガスは、プロピレンなど高付加価値化学製品の原料にもなることから、節約分の天然ガスを精製せずに輸出したとしても、年間5億5,000万~6億ドルの外貨が同国にもたらされるとした。政府はまた、環境に優しい原子力は大気中にCO2を排出しないと指摘。天然ガスの燃焼で排出されるCO2の量は、原子力によって年間300万トン削減できるとの見通しを示している。

 このような背景から、会合では主に、原子力発電所の建設と運転、安全性の確保で必要となる実務的な作業が議論された。大統領は同様の設備を建設した先進国の実績について調査を命じたほか、立地点の技術的条件設定と地質学的な特性調査についても実施を指示。規範となる法的枠組も整備しなければならないとしており、国際原子力機関(IAEA)の要件や国際的な法規に適合した「原子力利用法案」を策定し、これを議決する必要があるとの認識を示した。
 大統領はまた、関連する全活動の調整や文書の準備、交渉の実施等で、新しい組織を内閣内に設置する方針を示した。同時に原子力発電所の建設を担当する部局も新組織内に設置するが、この部局は最終的に発電所の運転者になると説明している。
 さらに、原子力発電所の実際の建設と運転では最新の複雑な技術が活用されることから、深い見識を備えた高度に優秀な専門家が求められると大統領は明言。このため、物理分野では世界有数の教育機関と言われる国家研究原子力大学モスクワ工科物理研究所の分校を、ウズベキスタンの首都タシケントに開校するとした。一方、国内で物理や技術係の大学を卒業した者を選抜し、教育・訓練のためロシアのモスクワとベラルーシのミンスクにある大学や原子力発電所に送る計画も指示している。