フォントサイズ:

福島第一、3号機使用済み燃料取り出しに向け準備進む

2018年8月27日

 福島第一原子力発電所では現在、3号機使用済み燃料プールからの燃料取り出しの11月開始に向けて着々と準備が進められている。3号機使用済み燃料プールには、使用済み燃料514体、新燃料52体(計566体)の燃料が保管されている。その取り出しへの着手は、中長期ロードマップに「2018年度中頃」と目標時期が明記されており、廃炉工程における本年の大きな作業ステップの一つである。
 3号機オペレーティングフロアは、作業を常時有人で行うには高線量下であることから、既に燃料取り出しを完了した4号機と異なり、これまでに経験のない遠隔操作により、プール内のがれき撤去、燃料取り出し、輸送容器への装てんといった一連の作業を行う必要がある。同機では、大型がれきの撤去が2015年に、オペレーティングフロアの除染および遮へい体設置が2016年にそれぞれ完了し、2017年11月には燃料取り出しの遠隔操作を行う燃料取扱設備の設置が行われた。
 原子力産業新聞では、福島第一原子力発電所の現地取材を行った上で、2018年1~3月に「現地で見る2018年の見通し」と題し、3回シリーズで、廃炉に関わる各取組の進展状況について、それらを支える技術者の声とともに紹介した。

早朝からの作業が引けて遠隔操作室で取材に応じてくれた東芝エネルギーシステムズの東倉氏(左)、伊藤氏(右)、「約40台のカメラで色々な視点から確認しながら遠隔操作」と、モニターをバックに話す

 その中で、3号機使用済み燃料プールからの燃料取り出しについては、燃料取扱設備の開発に当たった東芝エネルギーシステムズ原子力機械システム設計部の東倉一郎氏と同・伊藤悠貴氏から、主に、開発当初の試行錯誤や横浜・本牧港から現場までの海上輸送・搬入に関わる苦労話を聞いた。このほど、燃料取り出し開始に備え設備試運転も佳境のところ、一連の遠隔操作を習熟する実機訓練を前に、緊張感の高まる中、現地にて再び話を聞くことができた。

遠隔操作を行うハンドルは非常にフレキシブルだ


 燃料取り出し作業では、まず、建屋爆発の影響でプール内に堆積している小がれきを撤去しなければならないが、「コンクリートやケーブルにも対応できるよう、カッターなどのツールを開発した」としており、未知の状況に対峙し、吸引、把持、切断といった操作が行えるよう様々なツールを準備している。燃料取扱設備の試運転中、クレーンの不具合が発生し、作業工程に滞りが生じたが、「安全最優先で、トラブルがないよう着実に進めていくことが大事。しかし、『何が起きるかわからない』、常に開発に当たった自社の技術で『何ができるのか』ということを考えている」と、緊張感をにじませる。また、原子炉建屋内での機器類の設置作業に関し、「特に夏場、全面マスクに防護服での作業は体力的に厳しい。そのような環境下、『いかにスムーズに行うか』ということも考えながら進めている」とも強調する。

小がれき撤去のイメージと撤去用ツール(東京電力発表資料より引用)


 東京電力が原子力規制委員会の監視・評価検討会で8月10日に説明したところによると、燃料取り出し開始は、試運転終了から約3か月後を予定しており、その間、一連の遠隔操作に備え、(1)燃料取扱設備訓練、(2)輸送容器訓練、(3)燃料移動訓練、(4)引っ掛かり解除訓練――からなる実機訓練を行い作業員の技能向上を図る。一方、燃料取扱設備では、8日に警報発生の不具合が発生しており、作業工程への影響が気がかりなところだが、同社では、「原因究明を図り、安全最優先で作業を進めていく」としている。

やりがいを感じる作業環境に

福島第一の食堂ではカレーも日替わり(写真はドライカレー)

 「お疲れ様です」、「ご安全に」福島第一原子力発電所では構内のどこでも、これから仕事場へ向かう作業員と引き上げる作業員とがすれ違い時に大きな声で挨拶を交わす。8月6日にいわき市で開かれた「福島第一廃炉国際フォーラム」で、東京電力廃炉推進カンパニーの小野明プレジデントは、線量低減の取組により、一般作業服または軽微な「Gゾーン装備」で働けるエリアがサイト全体の96%にまで達したと説明した。身体への負担軽減や作業効率の向上とともに、作業員同士が円滑にコミュニケーションを図る上で重要な進展といえる。また、「福島給食センター」(大熊町)が提供する食事は、昼食で、定食A・B、麺セット、丼セット、カレーセットがあり、いずれも日替わりで、同じものが続くことはない。今後の廃炉作業が円滑に進むためには、地元の方々のご理解・ご支援はいうまでもなく、作業員らが福島第一で働くやりがいを高めていく上で、こうした作業環境改善の取組は極めて重要であろう。