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WANOとWNA、世界中の原子力産業界の能力向上に向け覚書

2018年10月22日

©WANO

 世界原子力発電事業者協会(WANO)と世界原子力協会(WNA)は10月17日、世界中の原子力発電所や産業界が能力の向上を目指すための協力基盤として、新たな了解覚書に調印したと発表した(=写真)。
 具体的な協力分野として挙げられたのは、「緊急時対応支援」、「輸出規制」、「原子力供給チェーン」、および「能力強化」。原子力産業界が直面しているこれら4分野の課題について議論を行い、解決策を割り出すことにより、産業界にとってより良い結果を導き出していきたいとしている。

 WANOはチェルノブイリ事故後の1989年、世界30か国以上の国と地域で約460基の商業炉を運転する事業者が、安全性と信頼性の改善支援を行うために設立された非営利の国際組織。WANOのP.プロゼスキーCEOは、この合意を通じて両者の関係はこれまで以上に緊密かつ正式なものになると指摘。WNAと一層連携することによって、WANOはその会員のみならず世界中の原子力産業界も含めて、双方が関心を持つ主要4分野で改善と利益が図られるよう、双方の専門的知見や実績、資源力と影響力を活かすことになると述べた。

 協力分野の1つである「緊急時対応支援」については、両者は機密の保持を常に尊重しつつも、情報交換を通じてともに協力していくことで合意。世界の原子力産業界を代表するWNAのA.リーシング事務局長は、WNAの使命について「国際的な影響力を持つ人々に信頼出来る情報を提供したり、エネルギー問題に関する議論に貢献して、原子力への理解を幅広く深めていくことだ」と指摘。その上で、「WNAは緊急時も含めて産業界や一般市民、メディアに対してもコミュニケーション支援を任されている」と明言した。WNAのそうした役割は、WANOとの協働により、さらに強化されていくとの認識を示している。

 また、「輸出規制」に関しては、両者が協力して原子力供給国グループ(NSG)との関係を一層強化していくとした。NSGは1974年のインド核実験を機に1978年に設立された組織で、原子力関連資機材や技術の輸出国が守るべき指針「NSGガイドライン」に基づいた輸出管理を行っている。プロゼスキーCEOは、「核不拡散に関する国毎の規制と、過度に煩雑な手続がリスクと相応に釣り合うよう、我々としての提案を引き続き行っていく」と説明。原子力輸出で不必要な官僚主義が横行すれば、世界中の原子力発電所で安全関係の重要な仕事を行う際に、両者の能力が妨げられることになるとした。
 リーシング事務局長も、WNAがNSGと協議する機会が得られるとして歓迎。原子力機器や燃料、技術など、原子力関係の合法な国際貿易に対する不必要な影響を、輸出規制はどのようにして回避可能にするのかという議論に参加したいと述べた。

 さらに、「原子力供給チェーン」関連では、WANOは影響力のあるWNA供給チェーンの作業部会会合に参加する意向を表明。これにより世界的な供給チェーン問題、すなわち産業界への影響を強めつつある合理化や近代化、能力強化などの問題について、連携を強めていく考えを明らかにしている。

 (参照資料:WANOとWNAの発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)