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GE社、事故耐性燃料開発の加速でエネ省から新たに3,370万ドル

2018年10月29日

 米国のGE社は10月25日、エネルギー省(DOE)が主導する「事故耐性燃料開発プログラム」において、同社の合弁企業が6年計画で進めている研究開発を加速するため、DOEから新たに3,370万ドルのプロジェクトを請け負ったと発表した。
 通常運転時と事故時の条件下においても、一層頑健で高い性能を発揮する先進的燃料棒技術の開発を、2年半のプロジェクトとして実施するというもの。すでに協力中の国立研究所や電力会社であるエクセロン社、サザン・ニュークリア社との連携も深め、原子力発電所の安全確保で新たな基準の設定を可能にし、最終的には商業規模で市場展開できる新しい燃料棒を開発・実証する考えだ。

 DOEのプログラムには現在、GE社と日立の合弁企業であるグローバル・ニュークリア・フュエル(GNF)社が、ウェスチングハウス社や仏フラマトム社などとともに産業界から参加している。一方、新規のプロジェクトは、GNF社に対してすでに協力中のGE社・グローバル研究センターが主導する。複数の学問分野にまたがる同センターの科学者やエンジニアが、DOEおよび傘下の3つの国立研究所(ロス・アラモス、オークリッジ、アイダホ)とチームを組み、GNF社が進めているクロム・アルミニウム鉄合金の燃料被覆材「IronClad」技術と、標準型ジルコニウム被覆管に「ARMORコーティング」を施す技術について、開発を促進することになる。

 「IronClad」材は、既存の最先端燃料被覆材であるジルカロイよりも高い耐久性を持つとされているが、グローバル研究センターの科学者はこれに材料科学や3Dプリンティング等に関する高い技術力を活用して、新しい「IronClad」材を開発する。これにより、燃料の信頼性や安全性を向上させるとともに、発電所を運転する際の柔軟性も拡大。深刻な条件下で長時間耐え得るという性能により、コストも削減できるとGE社は強調した。
 同社のプロジェクト・チームはまた、同社の航空事業等からセラミックス基の複合材料(CMC)技術を活用する計画。CMCは、商用ジェット・エンジンの効率性と性能を向上させるために使用されている耐高熱性の材料で、同チームはこれを、燃料棒を取り囲むチャンネル・ボックスの開発に適用するとした。同プロジェクトではさらに、「IronClad」材の試験片を設置した原子炉に、ARMORコーティングを施した試験用燃料棒を追加で装荷する方針も示している。

グローバル研究センターのE.ドゥリー技術運営リーダーは、「このプロジェクトでさらに強靱な燃料棒を開発し、発電所の安全性や耐久性というハードルを一層高めることを狙っている」とした。これにより、炉心内では既存の燃料よりも長い時間、冷却材の喪失に耐えられる。また、原子力級のCMCを統合し、高温に耐えられるというセラミックスの特性を活用することで、一層強靱なシステムの構築に役立てられるとしている。

 (参照資料:GE社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの10月26日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)