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IAEA福島第一調査団が4回目のレビュー終了、処理水の取扱い「喫緊の課題」

2018年11月14日

 IAEAの福島第一原子力発電所廃炉に関する調査団の報告書概要版が11月13日、団長のクリストフ・グゼリ氏(核燃料サイクル・廃棄物技術部長)より、経済産業省の磯﨑仁彦副大臣に手渡された。福島第一原子力発電所の廃炉に向けた取組に関しIAEA調査団が来日するのは4回目で、11月5日より現地視察や関係者との意見交換を通じ、汚染水対策、使用済み燃料の取り出し、サイトの現状、今後の計画などについてレビューを行い、評価事項17件と助言21件が示された。最終報告書は2019年1月末までに取りまとめられる予定。
 前回2015年2月の来日時は、2014年に東京電力が福島第一廃炉推進カンパニーを設立し、廃炉の戦略的推進を図る体制が明確化してきた時期で、4号機の使用済み燃料取り出し完了、地下水バイパスの運用、労働者の放射線環境改善につながる施設内除染といった主要課題の達成が評価された。今回の受入れは、9月のIAEA総会に政府代表として出席した松山政司内閣府科学技術政策担当大臣が表明したもの。
 グゼリ団長以下12名の専門家からなる今回調査団では、福島第一原子力発電所の廃炉を進める上で機軸となる中長期ロードマップを踏まえ、約1週間のレビューを行った結果、「サイト全体の廃止措置活動終了に至るまでを考慮に入れた詳細な計画立案と実行に、より多くのリソースを集中できるようになった」と評価している。グゼリ団長は、「事故当初から直面してきた課題の難しさに鑑みれば、これまで関与した人々の献身と成果にただ感銘を受ける」と称えた。
 報告書概要版では、前回レビュー時からの達成事項として、凍土壁造成による原子炉建屋に流入する地下水の低減、固体放射性廃棄物の保管庫・処理施設の建設、労働環境の改善、1~3号機の使用済み燃料取り出しに向けた進捗、ロボットによる炉内遠隔調査の進展をあげている。

福島第一のタンクエリアを視察するIAEA調査団(©東京電力)

 一方で、「水の管理がプロジェクト全体の持続可能性にとって決定的に重要。すべてのステークホルダーの関与を得つつ、トリチウムおよびその他の残留放射性核種を含む処理水の処分方法の決定は喫緊の課題」と指摘した。現在、タンクに貯蔵されているトリチウム水の取扱いが議論となっているが、資源エネルギー庁の原子力発電所事故収束対応室では、IAEA調査団の助言に関し、今後の専門家委員会における審議で考慮したいなどと話している。