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米エネ省、多目的試験炉の開発支援でGEH社と「PRISM炉」を選定

2018年11月16日

©GEH社

 米エネルギー省(DOE)傘下のアイダホ国立研究所(INL)は11月13日、新型炉で使用される革新的な原子燃料や資機材、計測機器等の開発に重要な役割を担う「多目的試験炉(VTR)」プログラムの支援企業として、GE日立ニュークリア・エナジー(GEH)社と同社が開発したモジュール式のナトリウム冷却高速炉「PRISM」(=)を選定したと発表した。
 DOEの原子力局(DOE-NE)は、2026年までに原子炉型の高速スペクトル中性子照射能力を確立する上で何が必要かを調査している。同プログラムを通じてVTRの概念設計やプロジェクト全体のコストとスケジュールの見積り作業などを進める方針。その結果により、早ければ2026年にも運転開始可能なナトリウム冷却式高速試験炉となるVTRについて、2020年に建設可否の判断を下すとしている。

 INLの説明によると、同研究所が率いるVTRチームは同試験炉で実施する最先端の研究開発に、GEH社のエンジニアとともに「PRISM」炉の設計を適応させる予定。これにともない、エンジニアリング・資材調達・建設(EPC)契約企業大手のベクテル社も、チームの一員として非原子力部分の概念設計等に参加することになった。
 INLの担当部長は、「米国が必要とする照射能力の獲得に向けた挑戦的スケジュールに合わせるため、VTRの必要性に即した改造が可能であるとともに、成熟したナトリウム冷却高速炉設計が必要だ」と説明。詳細な概念設計をタイムリーに作成することは、コストとスケジュール面で正確な見積を行う際に非常に重要で、これによりDOEはプログラムを前進させるか決定することになるとした。

 現在、高速中性子の照射試験が行える施設は世界でも数少なく、米国には1つも存在しない。このためDOEは、VTRを設置することにより、米国の技術が原子力技術革新においてリーダー的立場を維持できると確信している。DOE-NEは高速スペクトル試験炉の必要性を指摘する複数の報告書を受け、今年初頭にVTRプログラムを設置。DOEの原子力諮問委員会(NEAC)も2017年版報告書の中で、コストやスケジュールの見積も含めたVTRの開発支援で、予備的概念設計の計画活動を直ちに開始するようDOE-NEに勧告していた。
 この勧告は部分的には、米国内で新型炉の開発を進めている民間企業の要望に応えたもの。これら企業の多くは、現在使われている商業用原子力発電技術よりも様々な試験施設を必要としている。また、9月下旬に成立した「2017年原子力技術革新対応法(NEICA2017)」でも、原子炉タイプの高速中性子源の必要性が強調されており、DOEに関連活動の推進を承認するよう促していた。

 (参照資料:INL、DOEの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)