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NUMOが包括的技術報告書を公表、地層処分に関わる最新の科学的知見を取りまとめ

2018年11月22日

記者会見に臨むNUMOの近藤理事長(左)と梅木博之理事

 原子力発電環境整備機構(NUMO)は11月21日、高レベル放射性廃棄物の安全な地層処分を実現するための科学的知見を包括的にまとめた技術報告書を公表した。処分事業の実施主体として、どのようにサイトの調査を進め、安全な処分場の設計・建設・操業・閉鎖を行い、閉鎖後の長期間にわたる安全性を確保するかについて、最新の状況を説明するもの。報告書の公表に際して、NUMOの近藤駿介理事長は同日の記者会見で、地層処分技術が「一層充実してきた」と強調し、「今後の事業推進に活かしていきたい」などと語った。報告書は今後、日本原子力学会やOECD/NEAによるレビューを受け、さらにブラッシュ・アップが図られる。
 日本における地層処分の技術開発に関しては、1999年に核燃料サイクル開発機構(現、日本原子力研究開発機構)が技術的拠り所となる「第2次取りまとめ」を公表。その後、NUMOの発足をはさみ、2005年には、再処理施設やMOX燃料加工施設の運転・解体で発生するTRU廃棄物についても、高レベル放射性廃棄物と同一サイトによる併置処分の技術的成立性が示された。今回の報告書は、高レベル放射性廃棄物とTRU廃棄物との併置処分を想定し、「第2次取りまとめ」以降、これまで蓄積されてきた技術開発成果を網羅している。
 一方、処分地選定に向けては、2017年7月に全国を俯瞰した「科学的特性マップ」が提示されたのを受け、NUMOでは対話活動を各地で展開しており、こうした取組状況から、「処分事業に対する国民からの信任を得ていくことが、これまでにも増して重要」との認識を報告書作成の目的として明示している。

稀頻度発生シナリオとして想定した「新規火山発生ケース」のイメージ(NUMO発表資料より引用)

 地質環境モデルについては、より実態に即した3種類の岩種について構築した上で、処分場の設計と安全評価の検討を実施し、「特徴が異なる多様な地質環境に対する処分場の構築技術の適用性という観点で信頼性がより向上した」と、「第2次取りまとめ」からの進展を述べている。定置された放射性廃棄物の周りに設ける「オーバーパック」と呼ばれる炭素鋼製の人工バリアについては、「第2次取りまとめ」で提示された厚さ190mmで、「約17,000年の閉じ込めを確保できる可能性がある」などと、十分な安全裕度が確認されたとしている。
 また、処分場閉鎖後の長期的な安全評価として解析した計16ケースのうち、発生の可能性が極めて小さい「稀頻度発生シナリオ」では、「10万年後に火山が新規に発生し処分場を直撃する」ことを仮定した評価を実施しており、最も大きい線量となった場合でも0.09mSv/年との評価結果が示されている。NUMOの技術担当者によると、「日本は火山国であることから敢えて検討した」と話している。