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原産協会が産業動向調査、2030年に「原子力発電比率20~22%」達成は厳しいとの見方

2018年11月30日

 原産協会は、毎年継続的に実施している「原子力発電に係る産業動向調査」に関し、2017年度を対象とした調査報告書の概要を、11月29日の月例プレスブリーフィングで公表した。今回の調査は、実質的に5基の原子力発電プラントが運転していた2017年度を対象期間とし、会員企業を含め原子力発電に係る産業の支出や売上げ、従事者を有する営利を目的とした365社にアンケートを実施し、254社(電気事業者11社、鉱工業他234社、商社9社)から有効回答を得た。
 それによると、原子力発電に係る産業を取り巻く環境は、新規制基準対応や一部の原子力発電所の再稼働により回復の兆しを見せていたが、2017年度の原子力関係支出高については、電気事業者、鉱工業他とも微増にとどまっていた。一方、鉱工業他では、原子力関係受注残高が2年連続で大きく増加し、原子力関係従事者も前年度からやや増加した。
 原子力発電に係る産業の景況感では、2018年度を「悪い」とする回答が大勢を占め(79%)、2017年度との売上額比較においても、「横ばい」(43%)、「減少」(34%)の回答が多かった。一方で、1年後の景況感や売上額予想については、2018年度と同様の状況が続くとの認識が見られた。
 また、原子力発電所の運転停止による影響については、「売上の減少」(複数回答で56%)、「技術力の維持・継承」(同58%)の回答が依然と多く、そのうち、「技術力の維持・継承」に係る影響を具体的にみると、「OJT機会の減少」(同91%)が特に多くなっている。さらに、「自社の技術・ノウハウを維持するために力を入れている工夫」については、「教育訓練の強化」(同77%)が最も多かった。
 今回、調査実施期間(2018年6~7月)に新たなエネルギー基本計画が策定されており、2030年エネルギーミックス「原子力発電比率20~22%」の達成について尋ねた。それによると、「達成できない」との回答が5割を占めており、その要因としては、「新設・リプレースが見えない」(48%)、「再稼働が遅れている」(33%)との回答が多かった(=図)。
 さらに、原子力発電に係る産業を維持する上での課題としては、「政府による一貫した原子力政策の推進」(複数回答で71%)、「原子力発電所の早期再稼働と安定的な運転」(同60%)、「原子力に対する国民の信頼回復」(同59%)との回答が多かった。その他、「原子力関連の人材確保・育成」(同26%)をあげる回答も近年増加傾向にあることから、再稼働が進まぬ現状において、人材の確保や技術力の維持・継承への懸念が高まっているものと分析している。
 プレスブリーフィングで、本調査に関する質問に応じた高橋明男理事長は、「福島第一原子力発電所事故から7年半経過したが9基しか再稼働していない。このスピード感ではなかなか厳しい状況ととらえているのではないか」としている。