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原子力機構が150時間の連続水素製造に成功、高温ガス炉の熱利用実用化に向け

2019年1月28日

ISプロセスの原理(文部科学省発表資料より引用)

 日本原子力研究開発機構は1月25日、高温ガス炉の熱供給能力を有効利用するため開発を進めてきた「熱化学法ISプロセス」による水素製造試験装置で、150時間の連続水素製造に成功したと発表した。
 「熱化学法ISプロセス」は、ヨウ素(I)と硫黄(S)を用いた3つの化学反応(硫酸分解、ブンゼン反応、ヨウ化水素分解)を組み合わせた化学プロセスで、水を高温熱エネルギーで分解する水素製造のためCO2の排出も資源の制約もない。また、ヨウ素と硫黄はプロセス内で循環するので環境中に廃棄物を出さない。

高温ガス炉は水素製造以外にも低温熱利用で地域暖房や海水淡水化など、幅広い熱利用が可能だ(文部科学省発表資料より引用)


 一方で、硫酸などの極めて腐食性の強い流体が高温下で扱われるため、実用化に向けて、多様な環境条件に適応できる材料を選定し信頼性を検証する「工業材料製機器技術」の開発が必要となる。同機構では、各反応工程に耐えうる工業材料製反応器の開発を進め、2016年に水素製造試験(約10リットル/時、8時間)に成功した後、より安定的な水素製造を目指し要素技術開発に取り組み、このほど長時間運転の目安となる150時間(30リットル/時)の連続水素製造に成功した。
 今後、運転データをさらに取得し、ISプロセスの自動運転制御など、大量の水素を安定的に製造できるシステムの実用化に向けて研究開発を進め、高温ガス炉「HTTR」からの熱を用いた水素製造の実証を目指す。「HTTR」は現在、新規制基準への適合性確認の審査を受けているところだ。