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IAEA、福島第一発電所の廃止措置に関するピアレビューで最終報告書

2019年2月5日

 国際原子力機関(IAEA)は1月31日、福島第一原子力発電所の廃止措置に向けた取組に関して、昨年11月に実施した4回目のピアレビューの最終報告書を公表した。
 この中で、同発電所は緊急的な状況から安定的な状態に向けて、大きく前進したと改めて指摘。サイト全体の廃止措置プロジェクトが終了するまでを考慮した詳細な計画の立案と実施で、一層多くのリソースを集中させることが可能になったとした。また、リスクの削減戦略がサイト特有の課題に応じたペースで進められており、3号機からの使用済燃料取り出し準備に続き、1号機、2号機からの取り出しに向け、作業が進展しつつあるとした。一方、ALPS(多核種除去設備)から発生する処理水の量は3~4年以内に137万立方mに達する見通し。日本政府が検討する5つの処分方法のうち、いずれかを実施する際、処分前にさらなる処理と管理を行う必要性に言及している。

 同発電所の廃止措置・中長期的ロードマップに対し、IAEAはすでに2013年に2回、2015年に1回、ミッションを実施。第4回目のレビュー・チームは2015年以降の進展に加えて、水対策、使用済燃料と燃料デブリの取り出し、放射性廃棄物管理、制度上・組織上の課題など、サイトの現状と将来計画に関するレビューを行った。
 レビュー完了時の暫定サマリー報告書で、同チームは「水の管理が廃止プロジェクト活動全体の持続可能性にとって決定的に重要」と指摘。日本政府がステークホルダーと関与しながら、トリチウムその他の残留放射性核種を含む処理水について、処分方法を決定することは喫緊の課題だとした。また、今回の最終報告書では、現地視察や関係者との意見交換を通じてとりまとめた17分野の評価事項と21件の助言に関して、一層詳細な内容を提示している。

 これらの評価事項と助言は、全体で8つの項目に分類されている。(1)「福島第一発電所の現状とロードマップの実施状況」の中でレビュー・チームは、ロードマップの策定と実行で諮問委員会が設置されるなど、日本で実行に移された活動を評価。(2)「前回2015年ミッションのフォローアップ」では、前回ミッション時の助言に対して講じられた配慮を称賛した。(3)「タンク内でのALPS処理水の管理」においては、処理水の処分で経済産業省が実施したトリチウムの除去可能な技術の特定作業を評価する一方、ALPS処理水の処分経路は、すべてのステークホルダーを交えて早急に決定しなくてはならないとした。
 また、(4)「一般国民とのコミュニケーション」では、放射線データの公表などを通じて東電が一般国民との情報共有プロセスを強化し、日本政府が処理水の取り扱いで小委員会を設置したという事実をレビュー・チームは認識。その上で、国民の不安に直接関係する事項については、先を見越したタイムリーなアプローチが必要になると両者に助言した。(5)「原子力発電所サイトの廃止措置戦略と計画立案」に関しては、日本政府を始めとする関係者の改善努力を認めるとともに、プロジェクト管理組織の設置判断を高く評価。その上で、発電所全体の廃止措置を完了する統合計画の策定準備を直ちに始めることや、使用技術の選定では国際的な良慣行に従うアプローチを取ることなど、5件の助言を明記した。
 さらに、(6)「制度上、組織上の課題」についてレビュー・チームは、関係者間の役割分担や、許認可手続に関する東電と原子力規制委員会のコミュニケーション、知識管理、人材育成、安全確保と放射線防護といった課題を網羅。5分野の評価事項と6件の助言を提示しており、廃止措置プロジェクトの各段階で必要な作業員の確保等で統合プロジェクト管理ツールを活用すること、サイト内すべての作業員に安全文化を浸透させることなどを提言している。
 このほか、(7)「国際協力」と(8)「特定の課題」において、同チームは5分野の評価事項と8件の助言について説明。汚染水の管理に関しては、燃料デブリを冷やし続ける必要性の分析評価を行い、その結果により注水量を削減したり、注水自体をどこかの時点でストップすることなどを東電に対して推奨した。また、使用済燃料関連では、貯蔵スペースの確保や、回収・輸送・貯蔵上の安全管理面で十分な配慮を行うことなどを勧告している。

(参照資料:IAEAの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの2月4日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)