フォントサイズ:

「J-PARC」の中性子利用、本格的な産学連携に向け企業コンソーシアムも

2019年2月7日

 日本原子力研究開発機構と高エネルギー加速器研究機構の協働による大強度陽子加速器施設「J-PARC」の産業利用の成果・展望が、2月5日の原子力委員会定例会合で報告された。
 「J-PARC」は、世界最大級の大型陽子加速器が生成する多彩な二次粒子により広範囲の科学技術・イノベーション創出に資する施設で、特に国内の中性子源としては、原子力機構の研究炉「JRR-3」とともに、基礎科学から産業応用まで幅広く活用されている。その中で、中性子源から放射状にビームライン(23本設置可能)が配置された「物質・生命科学実験施設」(MLF)では、共同利用のビームラインを設けることで幅広いニーズに対応し、2008年の供用開始から約10年間数多くの研究成果をあげている。
 原子力機構の物質・生命科学ディビジョン長の金谷利治氏は、「J-PARC」の中性子利用による研究成果が「商品化」にまで行き着く必要性を強調し、同施設の運転開始と時期を合わせて発足した「中性子産業利用推進協議会」の活動や、毎年開催の「MLF産業利用報告会」(=写真上、2018年7月、都内にて)について紹介するとともに、今後の本格的な産学連携に向けて、企業コンソーシアムの形成などを提唱した。
 商品化された研究開発成果の一例として、金谷氏は、住友ゴム工業他によるタイヤ用新材料「ADVANCED 4D NANO DESIGN」を紹介した。これは、「J-PARC」(ゴムの構造解析)、大型放射光施設「SPring-8」(ゴムの運動解析)、スーパーコンピュータ「京」(シミュレーション)の連携活用により、タイヤの低燃費性とグリップ性能を維持しながら、耐摩耗性能200%向上を実現したもので、DUNLOP「エナセーブ NEXT II」(=写真下、©住友ゴム)として商品化されている。「エナセーブ NEXT II」は、2017年の「日経地球環境技術賞」で最優秀賞を受賞した。