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米国:2018年に原子力の年間発電量が過去最高に

2019年3月28日

 米エネルギー省(DOE)内にある独立の統計分析機関であるエネルギー情報局(EIA)は3月21日、米国内で稼働する60サイト・98基の商業炉が、2018年に過去最高の8,071億kWhを発電したと発表した。
 過去最高発電量(8,070億kWh)を記録した2010年以降、複数の商業炉が閉鎖されたにも拘わらず、燃料交換とメンテナンス・サイクルの短期化、および出力増強などにより、合計の設備容量が拡大したもの。ただし、近い将来さらに閉鎖が予定されている商業炉があることから、EIAは原子力の総発電量も低下していくと予測している。

 2010年から2018年までの期間、米国では唯一、テネシー峡谷開発公社(TVA)のワッツバー原子力発電所2号機(PWR、120万kW)が2016年の秋、新たに営業運転を開始した。一方、2013年以降に閉鎖された商業炉は7基・530万kWにのぼり、今年の後半も新たに2基(ピルグリム原子力発電所とスリー・マイル・アイランド1号機)が閉鎖予定となっている。
 このような増減があるなかでも、米国の原子力発電所は過去10年の間、様々な理由により8,000億kWh近い総発電量を維持している。いくつかの商業炉では出力増強のための改修工事が行われ、この期間に増強された熱出力の合計は200万kWに至る。これは、ワッツバー2号機と同等の原子炉を2基、新たに加えたのに相当するとしている。
 原子力発電所ではまた、燃料交換やメンテナンスに要する時間が短縮されており、停止期間の短期化につながった。2018年に商業炉の平均停止期間は約25日間だったが、原子力発電所で燃料交換を行う通常のサイクルは18か月~24か月。このためEIAは、年間発電量の変動は主に、原子力発電所でメンテナンス・サイクルをどのように調整されるかに起因しているとの認識を示した。
 さらに、原子炉系統以外の部分(BOP)でも熱効率が改善。これらのことが組み合わされた結果、米国の原子力発電所では、2018年の平均設備利用率も過去最高の92.6%を記録したとしている。

 米国では、2021年と2022年にジョージア州で新たにA.W.ボーグル3、4号機(合計出力220万kW)が完成予定であるが、EIAは、今後7年間に閉鎖が予定されている商業炉12基の容量(1,050万kW)が相殺されることはないと予測した。
 これを相殺するため、出力増強をさらに実施する機会については、EIAは今後、目減りしていくと見ている。米原子力規制委員会(NRC)によれば、2020年までに申請が行われると予想される出力の増強規模は6万kWほどだが、電力卸売り価格の低迷、および電力需要の伸び悩みといった近年の市場条件下では、既存の原子力発電所で出力増強への投資という財政的なインセンティブは失われている。
 EIAの「年間エネルギー予測-2019年」によれば、標準ケースで2025年までに12基の原子炉が閉鎖され、原子力の総発電量も17%低下する見通し。失われた分の発電量は主に、新たな天然ガス火力発電所や太陽光、風力発電所の出力で補われると予想されるとしている。

 (参照資料:EIAの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの3月22日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)