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米議会上院で超党派議員が原子力リーダーシップ法案を再提出

2019年3月29日

©米議会上院

 米国議会上院のL.マコウスキー議員(共和党)(=写真)は3月27日、米国内で原子力の技術革新を促進するとともに、安全でクリーンな新型原子炉開発を確実にするための「原子力エネルギーリーダーシップ法案(NELA)(S.903号)」を、合計15名の超党派議員による連名で改めて上院エネルギー天然資源委員会に提出した。
 同議員は前会期中の昨年9月、同様のNELA法案(S.3422号)を提出していたが、上院内での議論はその後、進展しなかった。今回のNELAでも、原子力エネルギー開発における米国のリーダーシップ再構築という目標は変わっておらず、官民のイノベーターが協力して次世代の原子炉概念を開発する。国内外のエネルギー需要を満たすため、安全でクリーンかつ価格が適正、信頼性も高い新型原子炉を生み出していくとしている。

 同議員によると、米国はこれまで、手頃な価格によるエネルギー供給や信頼できる電力供給を維持するとともに、地球温暖化防止にも取り組んできたが、原子力発電は、そのためのオプションの中で最上級なものの1つ。一時期は米国が世界の原子力発電を牽引していたものの、今やロシアと中国にその地位を明け渡している。このような状況を覆し、米国内で先進的な原子力技術を開発することは、もはや必要不可欠の事項。今回の超党派法案を通じて、米国が世界のリーダーとしての地位を改めて構築するため、必要なツールや資源、官民パートナーシップなどを提供していく方針である。

 今回の法案の内容を説明する名称としては、「先進的原子力技術の目標を定めるとともに、原子炉タイプの多目的高速中性子源を準備し、新型原子炉概念およびその他の研究開発・実証にHALEU燃料(U235の濃縮度が5~20%の低濃縮ウラン)が利用可能となるよう、エネルギー省(DOE)長官に指示するための法案」がある。
 同法案はまず、新たな原子炉について国内市場を確保するため、連邦政府が原子炉から電力を購入する際の契約(PPA)の最長期限を、現行の10年から40年に延長する規定を盛り込んだ。これにより、先進的な原子炉開発で必要となる初期投資が軽減され、新型原子炉等の開発が促進されていくとした。
 また、原子力で10年以上のPPAを締結するための「パイロット・プログラム」も同法案で設定。同プログラムにより連邦政府は、電力供給の信頼性やレジリエンス(送電網が一時的な機能不全等から復帰する力)が強化された新しい技術を早期に採用するため、産業界と10年を超えて連携することが可能になる。
 さらに、先進的原子力技術の開発で米国が世界のリーダーになるには、原子燃料や材料物質で試験を実施する能力が必要になる。現在、高速中性子スペクトルの製造設備はロシアと中国にしか存在しておらず、NELAは同様の能力を有した研究設備(多目的試験炉)を米国内で建設することを、DOE長官に指示。同施設で重要な原子炉機器の試験を実施し、安全で信頼性の高い操業を実証、最終的には、そのような先進的原子炉概念に許認可を与えていくとしている。
 このほか、NELAでは、HALEU燃料を確保するためのプログラムも盛り込まれた。産業界が必要とする健全なウランの採掘・濃縮・燃料の製造加工能力を国内で有することは、米国が原子力産業界でリーダーシップを握る上で、もう一つの必須条件となる。数多くの先進的な原子炉設計がHALEUを必要とする一方、米国内では今のところHALEUの製造能力がなく、同プログラムでは米国内の開発業者が必要とする最小限のHALEUを、国内で長期的に供給可能になるまで確保することになる。

 (参照資料:米議会上院の発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)