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英国内の核融合施設運営で政府がECとの契約を延長

2019年4月4日

JETの原子炉容器内部©英国政府

 英ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)は3月29日、英国原子力公社(UKAEA)がカラム科学センター内で運営している世界最大の核融合設備「欧州トーラス共同研究施設(JET)」について、欧州委員会(EC)と結んでいた既存の運転契約を2020年末まで延長したと発表した。
 発表によると、英国の欧州連合(EU)からの離脱状況に関わらず、オックスフォード近郊にある同施設の運転継続を保証するとともに、今後2年間にEUから少なくとも1億ユーロ(約125億円)の対内投資を追加で確保。クリーンで安全かつ無尽蔵なエネルギーの供給を目指し、最新技術の研究をJETで実施していた500名以上のスタッフも、雇用が保証されるとしている。

 JETは世界でも最大級の出力と規模を有するトカマク型の設備で、EUに加盟する28か国の科学者が、無炭素な核融合エネルギーの将来的な可能性を探る研究を実施中。実際の研究は、欧州における核融合研究活動の管理と資金供給を担当するコンソーシアム「EUROフュージョン」が、欧州原子力共同体(ユーラトム)に代わって調整している。
 英国がEUから離脱するのにともない、英国政府はユーラトムからも離脱する方針を表明。このため、ユーラトム協定がカバーする同施設の離脱後の活動については、2017年から協議が続けられていた。
 新たに結ばれた契約では、英国以外の国から来ているJETスタッフも含め、すべての雇用を確保するほか、2020年にJETで計画されている極めて重要な一連の核融合実験の実施を保証。これらの実験は、仏国南部で建設中の新しい国際熱核融合実験炉「ITER」で予定されている実験の最終リハーサルになるとした。
 同契約はさらに、JETの運転を2024年まで継続するオプションの実施に可能性を残している。これにより、JETはITERが運転開始する2025年までの準備期間に、ITER計画をさらに支援することができる。

 英国政府で大学・科学・調査研究・イノベーションを担当するC.スキッドモア閣外大臣は、今回の契約について「英国や欧州における科学研究の将来にとって吉報である」とし、契約が延長されたことにより、世界でもトップレベルの、最先端な核融合研究が英国内で継続されると評価した。
 同大臣はまた、英国はEUから離脱するものの、科学に国境はないと強調。このような国際協力は、英国が研究・技術革新で世界のリーダー的地位を維持するための、先進的産業戦略で核心部分を成すものだと説明している。

 (参照資料:英国政府カラム科学センターEUROフュージョンの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの3月29日付け「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)