フォントサイズ:

EPR、AP1000、華龍一号などの技術革新と輸出力をアピール:北京で開催の国際会議に600人が参加

2019年4月16日

 4月1日と2日の2日間、北京市内の長城飯店で中国の原子力総合団体「中国核能行業協会(CNEA)」が「中国の原子力の持続的開発フォーラム2019(CNESDF)」を開催した。「クリーン・エネルギー時代における原子力の開発、革新、協力」をテーマとするもので、初日は全体フォーラム、2日目は3つのサブ・フォーラムで発表・討議が行われ、CNEAの当初予想の400人前後との予想を大きく超える、国内外の600人以上が参加した(=写真上)。
  この会議では国務院の国家原子能機構(CAEA)、能源局(NEA)、国家核安全局(NNSA)が指導機関として名を連ねている。共催は世界原子力協会(WNA)、協力は中国の3大原子力発電事業集団、5大重電機器製造集団等200の機関。
 会議は、(1)中国が世界に先駆けて運転を開始したフランス炉EPRと米国炉AP1000、また着工した国産第三世代炉「華龍一号」や世界最先端の第四世代炉である高温ガス炉実証プラント(HTR-PM)等の中国による技術革新と、(2)輸出での国際連携の進展、を中心に多くの発表・討議がなされた。
 別会場の中国国際展覧センターでは「第13回中国国際原子力発電産業展示会 」が会議初日から3日間併催された(=写真下)。

 初日の開会式で挨拶に立った余剣鋒CNEA理事長は、中国は2018年末で原子力発電設備容量4,464万5千kW(44基)と米・仏に次ぐ世界第3位の原子力発電大国になったことと、稼働中の第三世代炉10基は世界の3分の1を超えることを報告した。また中国の原子力は発電設備容量の2.3%に過ぎず、発電量でも4.2%と世界平均の10.3%よりはるかに低いことと、原子力産業としては40基の並行建設が可能であることを報告した。さらに、 2013年に日本原子力産業協会が提唱した「東アジア原子力フォーラム」が中国、台湾、韓国、日本の原子力産業の安全文化向上に大きな役割を果たしており、中国もさらに貢献したいと述べた。

 基調講演セッションでは、中国の原子力開発および原子力安全規制の責任官庁であるNNSA、NEA、CAEAの代表がそれぞれの立場から、国家エネルギー政策での原子力の位置づけ、原子力安全法規の整備状況、原子力技術革新と国際展開の現状と今後の方針について発表した。
 劉華NNSA局長は生態環境部(MEE)の副部長でもあり、原子力はクリーン・エネルギー開発と低炭素社会に不可欠であることを強調し、世界初のEPRとAP1000の運転開始に果たした中国の技術力と安全性を高く評価し、また中国が世界をリードしているHTR-PMへの期待を表明した。また独立性を保った有効な安全規制をめざす方針を示した。さらに、原子力発電に関する国民の理解促進が社会の安定上も重要であり、原子力安全への国民の参加を促す方針と、今後も中国は原子力開発で「安全第一・品質第一」を堅持することを強調した。
 劉宝華NEA副局長は、原子力発電は社会経済開発に不可欠でバランスよくその比率を高めることが必要であり、中国は高温ガス炉等の新型炉開発で引き続き技術革新を進めるとの決意を述べ、コスト低減と市場での競争力強化が課題に挙げられることを指摘した。
 張剋倹CAEA副主任は、核安全法(本年1月1日正式施行)等の原子力関係法規の整備状況を紹介。ウラン資源開発や使用済核燃料対策の重点化を示唆した。高レベル廃棄物処分技術を2050年までに完成する予定や核テロ対策の強化も紹介した。さらに中国の原子力安全規制は世界で最も安全であることを強調した上で、原子力緊急時対応の強化で国民の不安払拭を図っている現状を説明した。
 この基調講演セッションでは、国際原子力機関(IAEA)のM. チュダコフ事務次長、経済開発協力機構・原子力機関(OECD/NEA)のW.マグウッド事務局長、世界原子力協会(WNA)のA.リーシング事務局長の3人がそれぞれビデオ・メッセージで参加した。

 初日午前中の最後のセッションとしてCNEA科学技術賞授与式典が行われ、その後参加者は主催者手配のバスで「第13回中国国際原子力発電産業展示会」に移動した。展示会では中国と原子力発電や核燃料サイクルで複合的協力を展開中のフランスとロシアの国を挙げての出展が注目された。
 初日午後の特別発表セッションでは、当協会の高橋明男理事長が日本の原子力発電の最新状況、とくに3.11後の安全規制強化と電力事業者による安全向上への取組みを、多くの写真、図表を交え具体的に紹介した。
 このセッションでは、中国の原子力発電を牽引する中国核工業集団公司(CNNC)、中国広核集団(CGN)またAP1000やEPRの国産化を担当する国家電力投資集団(SPIC)の代表と、技術移転や国際展開で提携しているフランスの原子力・代替エネルギー庁(CEA)や英国国際通商部(DIT)、中国最大の発電事業者の中国華能集団(CHNG)、台湾核能科技協進会の代表も発表した。
 台湾の発表では、原子力発電が政治に利用されることがエネルギー安全保障を損なうなどと、聴衆から改めて指摘された。
 初日最後のセッションでは、中国の原子力発電開発の最新状況がCNEA代表2人から「とりまとめ報告」の形で紹介された。
 その中では、新型炉開発、ウラン資源探査・核燃料加工・使用済核燃料・高レベル廃棄物対策の展望に加えて、第三世代炉の国産率85%以上の目標、毎年原子力発電プラントを8~10基新規着工する方針、2035年には総発電量の10%前後を原子力で賄うとの紹介があった。
 第三世代炉の設計寿命の40年から60年への延長、設備利用率を現在の85.61%から93%に向上、また中長期的な1kWhの発電モデル原価として華龍一号で0.26882元(4.49円)、AP1000で0.26784元(4.47円)、風力発電で0.42244元(7.05円)、太陽光発電で0.53376元(8.91円)といった目標が明示されたことが注目される。
 ちなみに2017年のNEA発表の1kWhの発電原価は、原子力0.40295元(6.73円)、風力発電は0.56230元(9.38円)、バイオ発電は0.75636元(12.62円)、太陽光発電は0.93990元(15.69円)であったことも紹介された。

 会議2日目には、「クリーン・エネルギー時代における原子力エネルギー開発」、「クリーン・エネルギー時代における原子力エネルギー革新」、「クリーン・エネルギー時代における原子力エネルギーに関する国際協力と一帯一路協力」のテーマで3つのサブ・フォーラムが並行開催され、AP1000とその出力増強国産炉CAP1400、華龍一号、高温ガス炉等の技術革新の進展状況が報告された。また中国と提携するフランスのEDFとFRAMATOME社、ロシアROSATOM、米国ウェスチングハウス社(WEC)、フィンランド原子力産業協会、パキスタン原子力委員会(PAEC)、ヨルダン原子力委員会(JAEC)、アルゼンチン原子力省、KAZATOMPROMOM(カザフスタン国家原子力公社)、ルーマニア国家原子力発電公社、トルコ発電会社(EUAS)の代表を含む発表と円卓討議が行われた。

 なお今回の会議の国内外の参加者のために、会議後に(1)海陽原子力発電所(AP1000)、石島湾原子力発電所(HTR-PM)、(2)福清原子力発電所(華龍一号)、(3)台山原子力発電所(EPR)の3ルートの施設訪問が実施された。

(原産協会国際部・中杉秀夫記)