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電気協会が原子力の学協会規格でシンポ、リスク情報活用に向けさらなる連携を

2019年6月13日

 日本電気協会は6月12日、原子力の安全性向上に係る民間規格の活用について考えるシンポジウムを都内で開催した。東京大学大学院工学系研究科教授・山口彰氏、原子力規制庁検査監督総括課長・金子修一氏他からの発表や、学協会として規格・基準の策定活動に取り組む同協会原子力規格委員会、日本原子力学会標準委員会、日本機械学会発電用設備規格委員会の登壇によるパネルディスカッションが行われた(=写真)。
 学協会が策定する規格・基準は、使用する当事者が協力し合い、高い安全性を合理的に達成することを目指す「民間の自主的取組」としての意義があり、最新の知見や現場の実績・経験の反映とともに、定期的な見直し、学協会間の協議・調整などを通じ、技術力向上や国際競争力の強化にも貢献するものだ。原子力規格委員会によると、電気協会の規格シリーズ「JEAC」では、2020年度から本格運用を開始する新検査制度を見据え、原子力発電所の燃料体検査に係る規格の新設・改定などが進められている。
 シンポジウムでは、原子力規格委員会委員長・越塚誠一氏の主催者挨拶に続き、規制サイドとして金子氏が、学協会規格への期待として(1)よりよい規格制定に結実するメカニズム、(2)機動的なプライオリティ付け、(3)幅広い知恵が集約される活動――の3点をあげ、議論に先鞭を付けた。
 「リスク情報を活用した意思決定」と題し講演を行った山口氏は、米国における「次期炉許認可プロジェクト」を紹介し、軽水炉に続く革新的原子炉の導入の障害とならぬよう、効率的でかつ適応性のある規制プロセスが構築される必要性を述べたほか、学協会に対し確率論的リスク評価(PRA)の品質確保などを期待。また、電力中央研究所原子力リスク研究センターの山中康慎氏は、PRA高度化の取組として、伊方3号機と柏崎刈羽6、7号機を対象としたパイロットプロジェクトの進捗状況を説明した上で、様々な研究開発成果を活用したPRA標準策定を提案した。
 パネルディスカッションでは、3つの学協会から、標準委員会委員長・関村直人氏、発電用設備規格委員会副委員長・高橋由紀夫氏、原子力規格委員会副委員長・高橋毅氏が登壇し、それぞれの規格・基準に係る取組状況を説明。いずれもリスク情報活用に向け問題意識を示したが、越塚氏は「現状ではバラバラ感がある」と指摘し、学協会が協力し全体像を議論していく必要性を述べた。また、金子氏は、リスク情報を構築するデータ・知見の基盤や枠組みの重要性を強調し、3つの学協会だけに留まらず、昨夏に設立された「原子力エネルギー協議会」(ATENA)が関与することに期待した。