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独GNS社、使用済燃料・放射性廃棄物の処理・管理の包括的ソリューションを国際的に展開

2019年6月21日

 GNS原子力サービス会社(GesellschaftfürNuklear-ServicembH社、以下「GNS社」)は、使用済燃料および放射性廃棄物用のキャスク・コンテナ製造メーカーとして、1974年に設立した。独エッセンに本社を置く。創業の背景は、1970年代にはじまったドイツの原子力産業界での「輸送と貯蔵」という二重目的のキャスクで乾式中間貯蔵する方法の研究を事業化する動きの中で同社が発足。PE、RWE、SNE、Vattenfallというドイツ国内で原子力発電所を運営する4電力会社が株主となっている。あらゆる使用済燃料と放射性廃棄物の処理と管理のノウハウは、原子力発電所のニーズに応える形で専門性と技術力を高めてきた。特に、GNS社が有する乾式貯蔵を可能にするドライキャスクは、貯蔵プールに溜まる一方の使用済燃料への対策として有望と考えられることから、伊藤忠商事株式会社が日本での連携を図るためPWR電力を対象に事業提携している。同社金属カンパニー金属資源部門 石炭・原子力燃料部の金光義崇原子燃料課長と、来日したGNS社のキャスク開発部で設計マネージャーのアミン・バナーニ博士(Dr.Amin Bannani、Design Manger、Cask Development)と使用済燃料管理のソリューション販売の責任者であるリナス・ベターマン博士(Dr.Linus Bettermann、Head of Department、Sales Spent Fuel Management)に日本での事業展開における構想を伺った。

 

中間貯蔵の効率化を可能にする技術

 伊藤忠商事は、資源の安定調達と供給を様々な産業分野で展開しており、原子力もその1つとなる。今後は、従来の資源投資・ウラントレード・ユレンコ社代理店業務というフロントエンド分野のみならず、GNS社との協業を通じて使用済燃料を含むバックエンド分野へも領域を伸ばしていくという。

 日本では使用済燃料を15年ほど貯蔵プールで冷却してからキャスクに移す。「貯蔵プールでの保管は、電力を使う。電力を喪失した時のことを考えると、なるべく早くキャスクに移せることが安全性向上につながる」と金光課長は話す。乾式貯蔵は使用済燃料を乾かした状態でキャスクに入れ保管する仕組み。再処理されるまでの間、一時的に保管しておく中間貯蔵としてキャスクが使われる。キャスクには除熱機能が備わっており、電気を必要としない。さらにドイツではわずか5年で貯蔵プールからキャスクに移しているという点が優れる。この分野で40年以上の経験と実績があるGNS社特有の技術に伊藤忠商事は着目。日本への展開が実現しようとしている。

 GNS社のキャスクは、「密封」「遮蔽」「除熱」「未臨界」という4つの防護目標のもとに設計されている。国の規則や現地の条件に応じて、貯蔵建屋の有無にかかわらず貯蔵できるのが同社のキャスクのメリットだ。貯蔵建屋からの除熱は、自然対流による静的冷却システムで十分であり、ドイツの全中間貯蔵施設で確立されている。電力を必要としない完全な静的システムということになる。貯蔵建屋は、環境から受ける影響を加味した防護機能をもたせ、公衆への放射線被ばくを低減するよう設計されている。

 GNS社は、これまでドイツを中心に1,700基のキャスクを製造・販売し、35年超の期間、無事故の使用・保管実績を誇る。2011年の福島第一原子力発電所の事故を受けて、ドイツでは2022年までに段階的に廃炉を進めることが決まった。これに伴い、「当時のキャスク生産能力は、年間で50基だった。それを80基にあげることになった」と、GNS社のバナーニ博士は明かす。同社は、ドイツ国内へのキャスクの販売は2025年に終了すると見込んでおり、これまで以上に海外市場への展開に力を注ぐ。すでに、スイスやベルギーなどの欧州諸国、米国、南アフリカへは販売実績があり、現在、韓国・台湾などのアジア諸国への販売にも注力する。日本に対しては、来年夏に型式証明申請を行う予定で、具体的なプロセスを開始した。ベターマン博士は「4月に開催された第52回原産年次大会2019でもブースを出展し、前向きなディスカッションにつながった企業もある」と、日本での事業展開に手応えを示す。

 GNS社は使用済燃料を管理するキャスクのほかにも、低/中レベル放射性廃棄物の処理事業も行う。昨今の原子炉廃止措置のニーズの高まりから、後者の事業も伸びているという。

 廃止措置をするには、使用済燃料貯蔵プールを空っぽにする必要がある。貯蔵プールには破損燃料も存在するが、それを収納するクイバーも同社は提供する。ドイツ国内の原子力発電所の廃止が決まったことにより、GNS社が開発した。2018年秋から原子力発電所の現場で使われ始めたばかりの最先端の技術だ。

 原子炉を運転する限り、使用済燃料は貯蔵プールに溜まっていく。満杯になるため、日本では、十分に冷却したものから順次キャスクに移す作業が行われている。原子炉を解体するにせよ、運転するにせよ、使用済燃料の処理と管理を安全に遂行する技術は必要とされる。それゆえに、キャスクに対する一定の需要は長期にわたる。GNS社は、需要に応え、普及しやすいよう、価格を抑えるためにダクタイル鋳鉄をキャスク本体に採用した。世界で1700基のキャスクを製造販売した実績と、年間80基の生産能力に加え、価格面でも導入しやすさを追求するのが、GNS社が提供するソリューションの大きな特徴とも言える。

 日本への本格参入をするにあたり、ベターマン博士は「ドイツで製造した製品を日本で販売するというのではなく、将来的には日本の製造業者と連携をとり、日本国内の産業発展に寄与していきたい」と考える。日本展開のスタートラインに立つGNS社。ベターマン博士は、ドイツで培った使用済燃料・放射性廃棄物の処理・管理の包括的ソリューション技術を日本の企業とともに根付かせていきたいと意気込む。

 

GNS社の日本国内連絡先:
伊藤忠商事金属カンパニー/金属資源部門/石炭・原子燃料部/原子燃料課
木村 文香
電話:03-3497-6583
E-mail: tokmq-nb@itochu.co.jp

 

 

本社(エッセン)

製造工場(ミュールハイム)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドライキャスク製品

 

Yellow box

Caster V/19

MOSAIK

 

 

 

 

 

 

 

 

水中でのローディングの様子

 

 

 

 

 

お問い合わせ先:政策・コミュニケーション部 TEL:03-6256-9312(直通)