フォントサイズ:

環境省審議会でパリ協定長期戦略実行に向け意見交換、「国民全体で議論」など

2019年7月18日

 中央環境審議会の地球環境部会(部会長=三村信男・茨城大学学長)が7月17日に都内で開かれ、パリ協定長期成長戦略策定、「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)総会やG20軽井沢大臣会合の開催など、最近の地球環境保全を巡る動きについて報告し意見交換を行った(=写真)。
 6月11日に閣議決定されたパリ協定長期成長戦略では、今世紀後半のできるだけ早期に「脱炭素社会」の実現を目指すとともに、「2050年までに80%の温室効果ガスの排出削減」に取り組むことを基本的考え方とし、エネルギー、産業、運輸、地域・暮らしなど、各分野のビジョンと対策・施策の方向性、「環境と成長の好循環」を実現するための横断的施策を述べている。日本において温室効果ガス排出量の約9割をエネルギー起源CO2が占めているとの現状認識から、まず電源の非化石化と省エネルギーを推進。再生可能エネルギーの主力電源化や火力発電からのCO2排出削減とともに、原子力については、安全を最優先に再稼働を進め、2050年に向けて、人材・技術・産業基盤の強化、安全性・経済性・機動性に優れた炉の追求、バックエンド問題解決のための技術開発や国際連携に取り組むこととされている。
 G20軽井沢大臣会合(6月15、16日、「G20持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合」)では、パリ協定長期成長戦略に盛り込んだ「環境と成長の好循環」のコンセプトが全体合意され、(1)イノベーション推進、(2)民間資金の誘導、(3)ビジネス環境整備――などの具体的取組をまとめた「軽井沢イノベーションアクションプラン」が採択された。
 これらの報告を受け委員からは、パリ協定長期成長戦略の実行に向けて、「様々なステークホルダーと意見交換を行い実効性ある計画に」、「アカデミアも交え英知を結集し国民全体での議論に」といったコミュニケーションや学際連携に係る意見が幾つか出された。この他、IPCC総会(5月6~13日、京都市)の成果文書で日本の温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」への期待が記されたことに関し、CO2排出係数などのデータ精緻化を求める意見、長野の環境保全研究所による調査報告から、地球温暖化に伴う二ホンライチョウの絶滅危機に警鐘を鳴らす声もあった。
 環境省では、世界の平均気温が2000年頃と比較し最大4.8度C上昇することをシミュレーションした「2100年未来の天気予報」をウェブサイトで公開している。その中で、気象キャスターの小島瑠璃子さんが2100年8月21日の天気予報を演じ、熊谷44.9度C、名古屋43.4度C、東京42.8度Cなど、これまでにない猛暑、熱中症による死者急増、農作物への被害多発などをレポートしている。