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福島の中間貯蔵施設を訪れて-進む除去土壌の搬入

2019年7月23日

 今年4月には福島県大熊町の一部で避難指示が解除され、同町大川原地区には町役場新庁舎が開庁した。これに続き、福島第一原子力発電所事故の発生直後にプラント安定化の拠点となった「Jヴィレッジ」も全面再開し、その利便性向上を図るべく新駅が開設されたJR常磐線は来春全線開通となる運び。
 東日本大震災・福島第一原子力発電所事故から8年余りが経過し、今なお約4万人の県民の方々が避難生活を続けているが、福島の復興は着々と進んできている。復興においては、除染に伴い発生した放射性物質を含む除去土壌を、県内の仮置場から中間貯蔵施設に運搬することが重要な取組の一つである。
 今回、除去土壌を最終処分するまでの間、安全に集中的に管理・保管する中間貯蔵施設のうち、大熊1工区の「受入・分別施設」と「土壌貯蔵施設」を訪れるとともに、環境省福島地方環境事務所中間貯蔵総括課長・浅原堅祐氏(肩書はインタビュー当時)に話を聞いた。

〈除去土壌の中間貯蔵施設事業とは〉
 中間貯蔵施設(大熊町・双葉町)は単に除去土壌を一時保留するための施設ではない。最終処分を見据え、減容を目的に以下の(1)~(5)の処理が実施される。福島県内の仮置場にある土壌等は、こうして計画的に中間貯蔵施設へと搬入されていく。
 (1)仮置場から土壌等が輸送される
 (2)「受入・分別施設」で土壌と可燃物等に分別される。
 (3)分別した土壌は「土壌貯蔵施設」に貯蔵される。
 (4)可燃物は「減容化施設(仮設焼却施設・仮設灰処理施設)」にて焼却・溶融処理される。
 (5)発生した灰は鋼製容器に封入し、鉄筋コンクリート造等の「廃棄物貯蔵施設」に貯蔵される。
 帰還困難区域を除く県内に仮置されていた除去土壌等の輸送対象物量は約1,400万立方mである。今年度の施設への搬入量は約400万立方mが計画されており、2021年度までには中間貯蔵施設へ概ね搬入完了を目指している。

〈現場では、今〉

ベルトコンベアを土壌が流れ続け、ふるい出されていく(受入・分別施設にて)

 「受入・分別施設」では、まずトラックから荷下ししたフレコンバック(土壌を梱包している樹脂製の袋)を破袋し、重機を使ってフレコンバックの残骸、大きな石などを回収する。続いて1次分離器、2次分離器にて、それぞれ100mm、20mmより大きい石などを分別することで、最終的に細かい性状の土壌のみをふるい出し、「土壌貯蔵施設」へと送る。2次分離器の前工程では、改質剤を充てんし土壌を乾燥させる。

土壌を整地する重機群、底部には雨水が浸透しないよう遮水工が施されている(土壌貯蔵施設にて)

 そして「土壌貯蔵施設」では、「受入・分別施設」で分離した土壌をトラックで運搬、荷下しし、ショベルカー、ブルドーザで地ならしする。
 「減容化施設」及び「廃棄物貯蔵施設」については年度内に竣工予定となっている。

〈環境省福島地方環境事務所にて〉

浅原中間貯蔵総括課長、「本事業を『安全を第一に』進めることで福島復興を着々と進めていく」と強調

 中間貯蔵総括課長・浅原氏は、福島の復興・再生に向けて極めて重要な中間貯蔵施設に関わる事業について、「当初、類をみない大規模な公共事業であったため、自治体・関係省庁、事業者などとも連携しながら進め方について検討を重ねてきた」と、これまでの取組を振り返る。さらに、本事業がここまで進展したことに対しては、「大熊町・双葉町の住民の皆様をはじめ、様々な方々の協力・支援のもとに成り立っている」と話す。

*中間貯蔵施設についてさらに詳しく知りたい方は下記のウェブサイトをご覧下さい。
 〇パンフレット「除去土壌などの中間貯蔵施設について」
 〇中間貯蔵施設情報サイト
 〇中間貯蔵工事情報センター

 今年1月にオープンした「中間貯蔵工事情報センター」では、中間貯蔵施設工事の概要、工事の進捗状況、安全への取組などを紹介しており、施設の見学会も毎月1回実施しています。