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カナダ原研のSMR実証炉開発プロセスで4つ目の設計が第1フェーズ完了

2019年7月31日

「U-バッテリー」の一次系
©U-バッテリー社

 カナダ原子力研究所(CNL)は7月29日、カナダ初の小型モジュール炉(SMR)実証炉をオンタリオ州チョークリバー・サイトで建設・運転するための審査・開発プロセスで、ウラン濃縮役務の供給大手URENCO社が率いる企業連合「U-バッテリー・カナダ社」のSMR設計(=)が、開発プロセスの第1段階である予備認定を完了したことを明らかにした。
 CNLは2018年4月、世界中のベンダーから同プロセスに対する提案を募集すると発表。これまでにグローバル・ファースト・パワー(GFP)社が、パートナー企業の設計・開発した電気出力5,000kWの小型高温ガス炉(HTGR)設計で同プロセスの第3段階に進んだほか、テレストリアル・エナジー社の開発した電気出力19.5万kWの小型モジュール式・一体型溶融塩炉、およびスターコア・ニュークリア社による電気出力1.4万kWの小型HTGRが、今年2月に第1段階を完了している。
 電気出力4,000kWの小型HTGRとなる「U-バッテリー」は、これらに続いて第2段階の「適正評価段階」で、国家セキュリティ関係の要件や資金調達とプロジェクト経費に関する財務要件について、全面的な審査を受けることになった。

 SMR開発についてCNLは2017年4月、今後10年間の「長期戦略」の中で2026年までにCNLの管理サイトで少なくとも1基を建設する目標を掲げており、同年中にSMRの技術開発企業から19件の関心表明を受けた。その後は、全4段階で構成される審査プロセスを通じて、提案者の募集と選定を実施中。プロセスの第3段階で建設用地の手配や建設プロジェクトのリスク管理、その他の契約に関する交渉を行った後、最終段階の第4段階では、SMR実証炉の許認可と建設、試験、起動、運転、廃止措置を実行に移すとしている。
 ただし、同プロセスの重要なポイントとしてCNLは、カナダ原子力安全委員会(CNSC)が実施する原子力発電所の許認可プロセスとは完全に独立したものである点を強調。SMR設計が実際に許認可の申請段階まで進んだ場合、すべての建設プロジェクトに法的規制要件が課されることになり、提案企業は一般国民や先住民コミュニティなどとプロジェクトの重要事項に関する協議を行わねばならない。
 この関連でGFP社は今年4月、パートナー企業の開発した小型HTGR設計をチョークリバー・サイトで建設するため、SMR関係プロジェクトとしては初めて、「サイト準備許可(LTPS)」をCNSCに申請している。

 なお、URENCO社は同日、「U-バッテリー」の開発企業連合がカナダと英国、両方の並行アプローチで同設計の建設計画を進めていることを明らかにした。英国は電気出力30万kW以下のSMRも含め、新型モジュール式原子炉(AMR)の研究開発に今後3年間で最大5,600万ポンド(約80億円)を投資する予定。「U-バッテリー」設計はこのAMRフィージビリティ・開発プログラムで、英国政府から第1段階における資金援助を受けた後、第2段階の援助を要請したとしている。

 (参照資料:CNLURENCO社の発表資料、原産新聞・海外ニュースほか)