フォントサイズ:

チェルノブイリの「石棺」解体でインフラの整備作業をウクライナ企業に発注

2019年8月8日

NSCの内部©ChNPP

 ウクライナの国営企業チェルノブイリ原子力発電所(SSE ChNPP)は8月2日、1986年の事故直後に4号機で建設された「石棺」の解体作業を早急に実施するため、解体インフラ設備の土木工事契約を7月29日付けで国内の建設企業Ukrbudmontazh(UBM)社と締結したと発表した。
 チェルノブイリ事故に伴う放射性廃棄物の閉じ込め構造物は、建設資金の大部分が、欧州復興開発銀行(EBRD)の管理する「チェルノブイリ・シェルター基金」からもたらされたが、20億グリブナ(約83億円)を超える今回の契約金はウクライナの国家予算から拠出されるとしている。

 損傷を受けた4号機では、老朽化した石棺全体を覆う巨大アーチ型の新しいシェルター(NSC)が2016年11月に完成。内部に残存する放射性廃棄物を、100年間安全に閉じ込めることが可能になった。一方、急場凌ぎで建造された石棺では不安定な構造物が崩壊する可能性が高く、放射能漏れの発生する危険性が指摘されていた。
 2008年半ばまでに一旦、石棺の補強工事が完了したものの、ChNPPは安定性が保たれる期間を最大で2023年末までと予測。NSCの建設に向けて1997年に策定された「シェルター実施計画(SIP)」でも、NSCの完成とともに石棺内の不安定構造物の解体を開始し、2023年末までに完了させると明記されていた。

 ChNPPの発表によると、UBM社に発注した作業は3段階で構成されており、第1、第2段階ではまず石棺の点検と解体インフラ設備の設計作業を実施。これにより、大量の放射性廃棄物を管理するとともに、作業員の安全性を最大限に確保する。
 第3段階では、解体に必要な機器類の調達と据え付け、および解体物の剪断や除染処理などを行う。高い放射線リスクの下で行われる最も複雑な作業段階であり、ChNPPは30年以上前に建設された石棺が、重力だけで支持ブロック上に保たれているという。UBM社は石棺を解体するのと同時に補強も行わねばならず、すべての要素の除去により石棺の崩壊リスクが一層増大し、大量の放射性廃棄物がNSC内に放出される可能性を指摘している

 (参照資料:ChNPPの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの8月5日付「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)