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エネ調放射性廃棄物WGが1年半ぶり開催、「すそ野の拡大と関心層への的確な情報提供」

2019年8月20日

 総合資源エネルギー調査会の放射性廃棄物ワーキンググループが8月19日、およそ1年半ぶりに開かれ、高レベル放射性廃棄物の最終処分に関する最近の取組状況を振り返るとともに、今後の対応課題について議論した。
 資源エネルギー庁では、地層処分に関わる適性を全国地図の形で示した「科学的特性マップ」の公表後、処分地選定調査の受入れを目指し理解活動に取り組んでいる。

対話型全国説明会の参加者状況、都道府県庁所在地以外の開催で初参加の割合が増加するも若年層や女性の参加が少ない(資源エネルギー庁発表資料より引用)

 同庁放射廃棄物対策課によると、2018年5月から開催している少人数による質疑を充実させた「対話型全国説明会」では、これまでに全国61会場で計1,231名の参加があった。特に、同10月以降は都道府県庁所在地以外での開催や、ローカル広報(地方紙広告、自治体広報誌、地域情報誌、交通広告)の強化など、きめ細やかな会場設定・事前広報により、初参加者の割合が増加。また、説明会参加者へのアンケート調査で、地層処分の安全性に否定的な意見を持つ人の割合が参加後では約1割減少したほか、「対話を通じて理解が深まった」という声も多いことから、対話活動に一定の効果があったとみている。その上で、今後の対応課題として、(1)現役世代や若年層の参加者が少ない、(2)理解の深化を求める層への対応が不十分である――ことをあげ、「すそ野の拡大と関心層への的確な情報提供」を主眼に、対話活動を粘り強く継続していく重要性を改めて述べた。
 全国説明会での一般的内容に留まらず地層処分問題を「より深く知りたい」というニーズに関しては、「沖縄エネルギー環境教育研究会」による学校教員研修・授業実践や、理髪店主と来客とで交わされる口コミ力を活かした「生活者の視点で原子炉を考える会」(大阪)の取組など、自主的なグループ活動の全国的広がりや情報発信の契機となる事例が紹介された。海外の事例としては、22地域の関心表明につながったカナダの情報提供活動「Learn more」があげられ、先のG20関係閣僚会合で立ち上げが決まった「最終処分に関する政府間国際ラウンドテーブル」では、こうした各国対話活動の知見・経験を集めたベストプラクティス集の策定も見込まれている。
 委員からは、地域の対話活動に長く取り組む崎田裕子氏(ジャーナリスト)が「『もっと自分で勉強したい。勉強したことを他の人にも伝えたい』という声は大変重要」と述べ、自主的取組を支援していく重要性を強調。また、若年層の関心が低いことに関し、人口問題に詳しい増田寛也氏(東京大学公共政策大学院客員教授)は、フィンランドの30年以上に及ぶ理解活動の経緯に触れ、情報を提供する側・受け取る側の双方について世代交代を考える必要性を指摘した。
 原子力発電環境整備機構(NUMO)からは近藤駿介理事長が出席し、「すそ野の拡大」、「関心層の深化」とともに、技術的な取組に関するわかりやすい情報提供に努めるという対話活動の方向性を述べた。