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米国:HALEU燃料の商業利用実施に向けた法案が議会下院を通過

2019年9月11日

 米国の議会下院は9月9日、U235の濃縮度が5~20%の低濃縮ウラン(HALEU)燃料の商業利用加速や関連コストの回収スケジュール策定などを目的とした「先進的原子力燃料の活用法案(下院1760号)」を、発声投票により可決した。今後は、上院での審議に回される予定である。

 HALEU燃料の利用は、米国内で開発中の数多くの新型原子炉設計で検討されており、同法案はエネルギー省(DOE)原子力局に対し、同燃料の利用を支援するプログラムの策定と実施を命じている。
 米国内では今の所、HALEU燃料の製造が直ちに可能な商業施設が存在せず、DOEはアイダホ国立研究所(INL)内に貯蔵している約10トンのHALEUを使って、原子燃料を製造加工するパイロット・プログラムを推進中。昨年10月末から1か月間、DOEは同プログラムが周辺環境に多大な影響を及ぼすことはないとの評価結果(案文)をパブリック・コメントに付した。得られた意見を反映して、2019年1月にはINLの燃料・材料研究施設群(MFC)や原子力技術・エンジニアリング・センター(INTEC)で、HALEU燃料を製造すると決定。この計画により、民間部門や政府機関における新型原子炉関係の短期的な研究開発・実証活動を支援するとしている。

 同法案は、テキサス州選出のB.フロア共和党議員が昨年提案したのに引き続いて、今年3月に民主党議員との連名で下院に提出していた。フロア議員は8月下旬に公表した声明文の中で、「原子力は1日24時間年中無休でベース・ロード電力を供給しつつ、CO2の排出量削減にも貢献するという実証済みの解決策だ」と指摘。世界で最も効率的、かつCO2対策としても信頼性の高い無炭素電源であり、「このように重要なエネルギー技術の最先端に米国が留まれるよう、国内では次世代原子炉の開発が進められている」とした。その上で、将来的にもクリーンで安全な次世代原子炉を利用していくには、これらの原子炉技術で必要とされる次世代の原子燃料を開発しなければならないと強調した。

 同法案は具体的に、キャニスターなどHALEUを輸送するパッケージの設計や許認可の取得活動に従事する企業に対し、DOE長官が財政支援を行うことを許可。これらの企業は2022年1月1日までに同パッケージの設計認証を米原子力規制委員会(NRC)に申請しなければならず、NRCは2024年1月1日までにそれらを認証することになる。
 また、同法案に基づきDOE長官は、HALEU製造に利用可能なウランの在庫量を2021年1月1日までに議会に報告。製造に要したコストの回収スケジュールについても、DOE長官が策定義務を負うとした。
 さらに同法案は、これらの設計・許認可活動に要するコストの少なくとも20%を非連邦組織が支払う一方、2020年から2022年までの各会計年度に、年間150万ドルの予算が割り当てられるよう要請。法案の適用が終了するのは2034年9月末となっている。

 (参照資料:米議会下院DOEの発表資料、原産新聞・海外ニュース、ほか)