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芝浦工大他、エアバッグを用いた水素爆発減災システムを開発

2019年9月13日

 芝浦工業大学はこのほど、原子力発電所で水素爆発が発生した際に建屋崩壊や大気中への放射性物質拡散を防止できる減災システムを開発(=右図、芝浦工大発表資料より引用)。エアバッグを用いて水素や放射性物質を閉じ込めるもので、電力が不要なため電源喪失時にも機能する。同学燃焼工学研究室の斎藤寛泰准教授と、いずれも水素爆発に関わる研究実績を持つ吉川典彦名古屋大学名誉教授、労働安全衛生総合研究所の大塚輝人上席研究員らによる共同研究成果で、同研究グループは9月9日、オランダ・エルゼビア社が発行する産業安全に関する学術誌への論文掲載と、その中でダウンロード件数ランキング「Most downloaded articles」に選出されたことを公表した。
 本システムは、メッシュの細かい金網10~20枚を重ね合わせた消炎装置と、水素などのガスを逃がすエアバッグから構成されており、建屋の外壁などに開口部を設けて複数個取り付けておき、爆発が起きた際、熱膨張で水素を含んだ可燃性混合ガスや放射性物質をエアバッグへ押し込み、迫り来る炎を消炎装置で遮断するもの。エアバッグに押し込まれた水素ガスは、燃焼で生じた水蒸気の凝縮によって減圧する建屋内に徐々に引き戻されていく。
 発表によると、2m立方で耐圧約300キロパスカルの鉄筋コンクリート製模擬建屋に本システムを取り付けて実験(映像は こちら)を行ったところ、水素・空気混合気(体積濃度28%)の爆発の最大圧力は28キロパスカルとなり、装置を付けなかった場合の700~800キロパスカルと比べておよそ96%抑えられていた。密閉空間の安全対策として、本システムは、原子炉建屋以外にも、可燃物を取り扱う化学プラントや燃料パイプライン、粉塵爆発への備えが必要な穀物サイロなどにも適用可能としており、今後さらに研究を進めていく考えだ。