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仏CEA、EDFらが共同開発した仏国製SMR「NUWARD」を発表

2019年9月18日

©テクニカトム社

 仏原子力・代替エネルギー庁(CEA)と電気事業者のフランス電力(EDF)、および同国の小型炉専門開発企業テクニカトム社、政府系造船企業のネイバル・グループは9月17日、同国で50年以上の経験が蓄積された最高レベルのPWR技術をベースに、4者が共同開発したという小型モジュール炉(SMR)設計「NUWARD」(=)を発表した。
 これにともないCEAとEDFは同日、SMR開発で協力することを念頭に、米ウェスチングハウス(WH)社と枠組協定をオーストリアのウィーンで締結した。電気出力30万~40万kW程度で、安全かつ競争力のある低炭素電力を生み出す原子炉の需要は世界中で高まっており、原子炉設計と燃料開発で類いまれな経験を有する各社の経験を活かして取り組める重要な市場区分だと指摘。2020年初頭にも、協力プロジェクトの詳細なロードマップ策定を目指すとしている。

 「NUWARD」は、仏国で設計・建設されたPWRの2,000炉・年以上の運転経験に基づいて開発されており、オーストリアのウィーンで国際原子力機関(IAEA)の通常総会が開催されている最中に公表された。それによると、実証済みのPWR技術と、モジュール方式を取り入れた同設計は、運転者とって大きな利点があるほか、発電電力にも競争力を持たせられる様々な革新的技術を採用。コンパクトで単純化された統合型設計であり、建設と運転の両段階で柔軟性が高く、世界で最も厳しい基準にも適合する革新的安全性アプローチが採られている。
 同設計には、CEAの研究能力と認定能力、EDFが有するシステムの統合・運用能力、小型の原子力構造物とモジュール方式でネイバル・グループが蓄積した経験、コンパクトな原子炉設計に関するテクニカトム社の専門的知識が結集され、これらの目標の達成を強力に推進することが可能。2020年代後半に競争力を備えたソリューションとして世界市場に送り出すため、各社は国際協力にも道を拓く考え。ここでは特に、設計の標準化や合理化、規制面の調和を図ることを重視している。

 WH社との協力はこのような観点から模索されているもので、CEAとEDFおよびWH社の3社は締結した枠組協定に基づいて、テクニカトム社とネイバル・グループが参加するNUWARD計画、およびWH社製SMR計画の双方で蓄積されてきたPWR技術の専門的知見を統合する可能性を探る。WH社のSMRは原子力産業界で唯一、すでに運転中の原子炉で装備済みの受動的安全技術を採用していることから、「安全かつ競争力のある低炭素な電力」という世界の需要に応えられるとした。
 この国際的な枠組協定ではこのほか、SMR開発を成功に導く上でカギとなる規制や設計の標準化を追求するとしている。

 WH社との枠組協定について、CEAのF.ジャック長官は、「安全面や運転面の基準と設計の調和が求められる輸出市場を主な目標にしているため、今回の協定は原子力開発分野の主役企業と国際協力するための重要ゲートになる」と述べた。
EDFのJ.-B.レビィ会長兼CEOは、「我々の能力と幅広い経験、特に許認可手続に関するものを組み合わせれば、革新的技術を採用した安全かつ競争力のあるSMRを、世界のエネルギー・ミックスの脱炭素化に役立てることができる」と強調した。
 ネイバル・グループのH.ギユーCEOは、同社が過去40年以上にわたって、小型の原子力ユニットを推進力とする原子力潜水艦や空母を建設してきた実績に言及。NUWARD計画については、「我々の炉心関係の能力を提供する絶好の機会であり、相乗効果も期待できる」と述べた。
 テクニカトム社のL.ロカールCEOは、同社が約50年間で20以上の小型炉を設計・組立て・起動した実績に触れ、「当社のエンジニアリング能力と特殊ノウハウをNUWARD計画に活かせることを誇りに思う」とコメントしている。

 (参照資料:EDFWH社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)