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ニュースケール社、チェコでSMRの建設を目指しチェコ電力と覚書

2019年10月8日

 米オレゴン州を本拠地とするニュースケール・パワー社はこのほど、チェコで同社製SMR「ニュースケール・パワー・モジュール(NPM)」を建設する可能性を模索するため、チェコの国営電力(CEZ社)グループと了解覚書を締結したと発表した。
 同覚書により、両者はこれまで蓄積してきた原子力や技術関係の専門的知見を共有。具体的には、チェコ国内で原子力サプライ・チェーンを構築するとともに、SMRを建設・運転・保守点検していくための情報交換を行うことになる。
 今回の覚書についてニュースケール社のJ.ホプキンズ会長兼CEOは、「当社製SMRを今後、欧州で建設していく際の、最良の方法の検証機会を与えてくれる」と述べた。

 チェコでは、原子力発電がもたらす潜在的な可能性を広範囲にわたって評価中で、これには既存炉の改修やSMRの建設が含まれる。CEZ社のD.ベネシュCEOは、「わが国ではすでに、国立原子力研究機関(UJV Rez)がSMR関係の研究を進めており、SMRは無視できない将来の重要選択肢の1つだ」と指摘。チェコ政府のK.ハブリーチェック産業貿易相兼副首相も「SMRは原子力発電の将来を担っている」と述べ、「原子力研究で伝統的に世界の最前線に立つチェコが、ニュースケール社とSMRで協力することは、チェコのそうした地位を一層確かなものにする」と表明している。

 ニュースケール社の「NPM」はPWRタイプの一体型SMRで、電気出力は6万kW。同モジュールを12基連結した場合、出力は最大72万kWまで拡大することが可能。米原子力規制委員会(NRC)は現在、SMRとしては唯一、NPMの設計認証(DC)審査を実施中で、すでに第2、第3フェーズが完了。2020年9月に同審査がすべて完了すれば、米国初のSMRとして市場に投入できる。
 米国内ではすでに、エネルギー省(DOE)傘下のアイダホ国立研究所敷地内で最初の12モジュールを建設する了解が得られており、ユタ州公営共同電力事業体(UAMPS)がこれらの所有者になる予定。運転はワシントン州の電気事業者エナジー・ノースウエスト社が担当し、2027年頃に運転開始したいとしている。

 一方のCEZ社は現在、ドコバニとテメリン2つの原子力発電所で6基(合計約420万kW)のロシア型PWR(VVER)を操業中だが、これらが供給する電力量はチェコ全体の供給量の約3分の1に相当する。チェコ政府としては、地球温暖化防止や持続可能な開発、およびエネルギー供給保障の観点から、ドコバニ発電所で1~2基の原子炉を新たに建設する方針。また、これに続いてテメリンでも、既存原子炉の補完用あるいは取替用として新たな原子炉を建設する計画があり、どちらの場合も新規炉の環境影響評価(EIA)について、広く意見を求めていく。
 SMRに関しては、チェコのA.バビシュ首相が今年4月、これらの現行増設計画とは別に、長期的将来の新規設備として最適だと述べたことが伝えられている。

 (参照資料:ニュースケール社CEZ社(チェコ語)の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)