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地球温暖化と原子力の役割に関するIAEAの国際会議、原子力の必要性を強調

2019年10月9日

パネル討論での(左から右)IAEAのフェルータ事務局長代行、大会議長を務めたM.チュダコフ事務次長、およびOECD/NEAのマグウッド事務局長
©D.Calma/IAEA

 9月の国連気候行動サミットで、地球温暖化を食い止める具体的な行動について、若者世代から厳しい批判が噴出するなか、国際原子力機関(IAEA)は10月7日から11日まで、経済協力開発機構・原子力機関(OECD/NEA)との協力により、「地球温暖化と原子力の役割に関する国際会議」をオーストリアのウィーンで開催している。
 この問題について直ちに行動を起こすことを求める市民が急増していることから、同国際会議は初日の内容を「温室効果ガスの削減が可能なエネルギー源はすべて検討する必要があり、適切なエネルギー・ミックスのみがパリ協定に設定されたCO2削減目標の達成を可能にする」と総括。C.フェルータ事務局長代行も、「(この国際会議の)盛況ぶりは、緊急を要する地球温暖化の重大性や規模に対する国際社会の認識の高さを反映したもの」としており、この取組みの中で原子力発電技術が果たす貢献についても理解が深まりつつあると指摘。「今後数10年の間に原子力発電を相当量増やすこと無くこの削減目標をどのように達成できるか想像することは難しい」などと主張している。

 IAEAにとって今回の議題の国際会議開催は初めてで、79か国・18国際機関から約550名が参加。地球温暖化の影響緩和に向けて科学的根拠に基づいた情報を交換するとともに、原子力発電が果たす役割についても客観的な議論が行われた。

 フェルータ事務局長代行は原子力発電について、ほかのすべてのエネルギー技術と同様、リスクと恩恵の両面があるが、必ずしも純粋な科学的事実に基づいて評価されているわけではないと指摘。同国際会議を通じて、そうした誤解が払拭されることを願うとした。
 その上で、原子力は現在、世界の総発電量の約10%を賄う一方、低炭素電源としては3分の1を担っているという事実に触れた。世界では太陽光や風力といった再生可能エネルギーが成長を続けているが、原子力は先進国で安定的に信頼性の高い電力を供給。途上国においても経済成長を促すとともに、生活水準の向上に貢献していると述べた。
 原子力はまた、温室効果ガスや大気汚染物質をほとんど排出しないため、原子力の利用により年間20億トンのCO2排出を抑制することが可能。これは毎年、4億台の乗用車からの排出ガスに相当すると強調した。

 温暖化防止への取組みとして、これに役立つオプションすべてを検討する重要性については、パネル討論の参加者全員が同意。これらの発電技術の1つが欠けても、問題の解決策を見つけることは一層困難になるとした。
 OECD/NEAのW.マグウッド事務局長も、「環境を損なうこと無く経済成長を望むのであれば、すべての発電技術を対象とすることは特に真実だと言える」と指摘。地球温暖化に立ち向かう際の最重要課題は唯一、適切なエネルギー技術の組み合わせとは何かという点だと述べた。
 さらに、コスト面の競争力がある限り、原子力発電は大きな役割を果たしていくと強調。小型モジュール炉(SMR)やマイクロ原子炉、第4世代原子炉といった新技術が、未来を拓くかもしれないとしている。

 (参照資料:IAEAの発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの10月7日付「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)