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原産協会が女性シンポ開催、気象予報士の手塚悠介氏らを招きテーブルトーク

2019年10月11日

 原産協会は10月10日、会員組織に所属する女性を対象としたシンポジウムを日本工業倶楽部(東京千代田区)で開催。気象予報士の手塚悠介氏と慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授の遠藤典子氏による講演、少人数ごとのテーブルトークなどが行われた。

手塚氏「100年で世界の平均気温が1度C上昇」と、気候変動に警鐘を鳴らす

 「地球の未来が心配! 気象予報士から見た地球温暖化」と題し講演を行った手塚氏は、「東京では過去100年で平均気温が2.5度C上昇。今世紀末には現在よりさらに3~4度C上昇するとみられる」と述べ、殊に都市部で顕著な温度上昇の要因は、地球温暖化に加えヒートアイランド現象も大きいとした。また、近年頻発する「ゲリラ豪雨」は地球温暖化が原因とした上で、地下街水没などの「都市型水害」の実態を図示。さらに、熱中症や感染症のリスク増大、海水温上昇による台風の大型化や、将来にわたる予測として、海面上昇による砂浜消滅で生態系が破壊されることなどもあげ、地球温暖化がもたらす様々な影響に警鐘を鳴らした。農作物の北限上昇にも触れ、鹿児島の耐暑性に優れた柑橘類の栽培など、品種改良や設備投資の事例から、「今あるものを、どのように無駄なく変化させていくか。日本の企業には新しい技術を産み出す力がある」と話した。

遠藤氏「エネルギーに万能なものはない。情報を収集し、どう選択するか」と訴える

 「電力多消費時代におけるエネルギー政策」と題して講演を行った遠藤氏は、人類史上、蒸気機関、電力・モーター、コンピューターがそれぞれ引き起こしてきた第1~3次産業革命に続き、AIやロボットなどによるイノベーション創出が「第4次産業革命」をもたらしているとした。ビジネス創出やサービスの多様化が進む一方で、インターネットの普及やデータ量の急増が電力消費量を拡大させるとも指摘。例えば、モバイル端末で操作できるエアコンなどのネットワーク家電製品が待機時に消費する電力量が2015~25年で約6倍にも膨れ上るほか、電気自動車の普及も中国の牽引により加速化するとした。日本のエネルギー政策に関しては、「第4次産業革命」により電力消費が増加する中、中東への石油依存、原子力発電の廃炉と設備容量の見通し、温室効果ガス排出量の推移、電源別発電コストなどのデータを示し、ある選択をすることで別のことが犠牲になる「トレードオフ」関係を意識する必要性を強調した。

会員組織から約100名の女性が集まり講演者と対話

 講演を受け参加者はテーブルトークに臨み質問事項をまとめた。折しも大型台風接近が危ぶまれていたが、「台風の進路予想の精度は上がるのか」という質問に対し、手塚氏は「コンピューターの性能アップや観測ポイントの精緻化で向上するだろう」としつつも、近年激しさを増す異常気象の状況から「過去のデータが役立たないかもしれない」と懸念した。また、将来の電源構成に関して、遠藤氏は、大災害が頻発する現状、石炭・石油に関わる利便性とそれらを巡る金融市場の動き、原子力に対する社会受容の問題などを概括した上で、「技術を維持するためにも、当面はすべてのエネルギー源を利用するしかないのでは」と述べた。