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米BWXT社、先進的原子炉等に使用するTRISO燃料の製造ラインを再稼働へ

2019年10月11日

 米バージニア州のBWXテクノロジーズ(BWXT)社は10月2日、民生用に開発されている先進的原子炉や国防総省によるマイクロ原子炉活用計画、宇宙探査機器の電源用原子炉など、近年新たに浮上した顧客の需要に応えるため、同州リンチバーグにある3重被覆層・燃料粒子「TRISO」の製造ラインを再稼働させると発表した。再稼働に向けた準備はすでに始まっており、製造能力の増強も計画。これにともない、人員も新たに最大で60名を雇用する。

 BWXT社は、バブコック&ウィルコックス(B&W)社が2014年に分社化した原子力機器・燃料サービス事業と連邦政府の原子力事業対応の専門会社。ウラン酸化物を黒鉛やセラミックスで被覆するTRISO燃料の技術は元々エネルギー省(DOE)が開発したもので、同社はTRISO燃料を商業的に製造する能力を実証・確立するため、DOEの「次世代原子力プラント(NGNP)プログラム」にも(B&W社時代も含めて)15年以上参加している。
 TRISO燃料のようにHALEU燃料(U235の濃縮度が5~20%の低濃縮ウラン)を粒子核に使った燃料は現在、同社が米国で唯一、実規模設備による製造許可を得ている。HALEU燃料は、米国で開発中の複数の先進的原子炉設計で利用が予定されており、現段階ではDOEの先進的ガス冷却炉プログラムの下、アイダホ国立研究所(INL)にある新型試験炉(ATR)でも様々な試験が行われている。

 BWXT社は、今回のTRISO燃料の製造規模拡大を2段階計画で進めている。まず今後数か月の間に、生産再開に向けて追加の機器と人員を投入。その後の24か月~32か月で、顧客の必要量を満たす設備の拡大作業を完了する。
同社によると、HALEU燃料を使ったTRISO燃料を相当量製造するには、米原子力規制委員会(NRC)から少なくとも「カテゴリー2」の認可を得る必要がある。しかし、新たにTRISO燃料製造施設を建設するのと比べれば、既存のインフラを活用することによって初期コストを大幅に削減できるとしている。

 (参照資料:BWXT社の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの10月2日付「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)