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筑波大他、福島河川の放射性セシウム濃度低下を人間活動が促進

2019年10月15日

 筑波大学、福島県環境創造センター、京都大学による研究グループはこのほど、福島第一原子力発電所事故後5年間にわたり河川の放射性セシウム濃度をモニタリングした結果、人間活動が影響する地域から流出するところで大きく低下しているとの研究成果を発表した。筑波大環境生命系の恩田裕一教授らによる放射性核種の環境動態に関する学際的研究として行われたもの。
 本研究では、福島第一原子力発電所の80km圏内に30の河川観測地点を設け、モニタリング調査を実施。その中で、阿武隈川水系に位置する6地点で2011年6月~15年8月に取得したデータを解析した結果、放射性セシウムの濃度が、チェルノブイリ事故後のプリピャチ川における推移と比較すると、特に事故後1年間では著しい低下がみられたとしている。阿武隈川水系の観測地点では、放射性セシウムの濃度が、事故後5年目までにプリピャチ川の3分の1~21分の1となっていた。この違いについて、放射性セシウムの濃度低下が顕著だった流域では、水田・畑・都市域などの土地利用形態が多く、人間の活動により放射性物質の下方浸透や流出が促進されているものと分析している。
 また、本研究では、阿武隈川から海に流出した放射性セシウムの約85%が、流域面積比で38%程度の水田・畑・都市域を起源としていることも明らかにした。