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仏経済相、フラマンビル3号機建設計画の遅れとコスト超過で解決計画 要請

2019年10月31日

©Bruno Le Maire

 仏国のB.ル・メール経済・財務相は10月28日、北西部にあるフラマンビル原子力発電所3号機(FL3)の建設プロジェクトが大幅に遅延し、建設コストも超過していることについて、事業者であるフランス電力(EDF)のJ.-B.レビィ会長に対し「(問題解決に向けた)アクション計画を1か月以内に提示すること」を要請した(=写真)。
 これは、この件に関してPSA(プジョーシトロエン)グループのJ.-M.フォルツ元会長が独自に取りまとめた監査報告書が25日に公表され、「度重なる計画の遅れとコストの超過はEDFの失策」と指摘したことを受けたもの。ル・メール経済・財務相は記者会見で、「これは仏国の原子力産業界全体で挽回しなければならない問題だ」と述べ、仏国におけるエネルギー産業の存立に関わる重要問題と訴えている。

 フラマトム社製・欧州加圧水型炉(EPR)設計を採用したFL3の建設は2007年12月に開始されたが、原子炉容器鋼材の品質問題など様々なトラブルにより、2012年に予定されていた完成は2023年にずれ込む見通しである。
 EDFは2018年3月に2次系配管で事前点検を行った際、溶接部で複数の欠陥を検知。同年7月に修理を行ったものの、格納容器の2重壁を貫通する溶接部8か所については同年12月、仏原子力安全規制当局(ASN)に「十分な品質があり破断の心配はない」と保証した上で、修理対象から外していた。しかしASNは、諮問機関らの協力によりEDFの提案内容を引き続き検証。今年6月にはEDFに対して、「FL3の運転を開始する前に8か所の修理を終えること」を命じていた。

 今回の監査報告書は今年7月、EDFのレビィ会長がフォルツ氏に宛てた書簡の中で、10月末までに取りまとめることを依頼していた。この中でレビィ会長は、ASNが6月にEDF提案を却下した点に触れ、「プロジェクトにEPR設計を採用した理由や、スケジュールがたびたび遅延した原因、コストの初期見通しと完成までの差額、建設に関わる様々な企業の責任等について、株主である国に対し正確かつ完全な分析結果を示したい」と説明。同型設計ですでに営業運転を開始した中国の台山原子力発電所、およびフィンランドで完成に近づいているオルキルオト3号機と比較することも求めていた。

 フォルツ氏はEDFの内部資料や幹部職員へのインタビュー等を通じて検証を行い、2006年5月当時に33億ユーロ(約4,000億円)と見積もられていた建設コストが、今年10月までに7回改定され、現時点で124億ユーロ(約1兆5,000億円)に増加した事実に言及。完成の遅れと合わせて、これらはEDFの失策と考えられるが、台山発電所の2基が世界初のEPRとして営業運転を開始したことにより、EPRのコンセプトと設計が妥当であることが実証されたとフォルツ氏は見ている。
 当然のことながらEPRのシリーズ建設再開に向けて、これまでに得られた経験を保持しつつ、EPRのコスト削減と「建設可能性」について一層の改善を図るべきだとフォルツ氏は勧告。FL3計画の遅れは、必ずしも現行のプロジェクト管理チームが原因というわけでは無いが、最新のプロジェクト管理技術を持った常勤スタッフ、および潤沢な自己資金を備えた、強力なプロジェクト・チームに立て直すべきだとした。
 フォルツ氏はまた、EDFに対しても、安全規制当局やサプライヤーと更なる調整を図ることを進言。産業界に対しても、より一層協調していくことで作業員の訓練、とりわけ溶接作業員の能力が改善される。要求の高い分野で質の高い専門家を多数蓄えるためには、初期の訓練と能力の維持で多大な努力を積み重ねることが必要だと強調している。

 (参照資料:仏経済・財務省(仏語)の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの10月29日付「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)