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イランのブシェール発電所でロシア企業が2号機を本格着工

2019年11月12日

©AEOI

 国連安保理の5か国とドイツ、および欧州連合が2015年にイランと結んだ「核合意」から米国が離脱し、イランもウラン濃縮量を拡大するなど、同合意が崩壊の危機に瀕するなか、ロシアの国営通信社を母体とするRIAノーボスチ通信社は11月10日、商業規模の原子力発電所としては中東唯一というイランのブシェール発電所で、2号機(PWR、105.7万kW)の原子炉系統部分に最初のコンクリート打設が行われたと報道した。
 イラン駐在のロシア大使館から得られた情報だとしており、イラン原子力庁(AEOI)のA.サレヒ長官と、建設工事を受注したロシア国営原子力総合企業ロスアトム社のA.ロクシン第1副総裁は、双方が署名した記念のコンクリート・キューブ(立方体)を交換。ブシェール発電所がイランの長期計画通り、現在稼働中の1号機に続き、2、3号機が2026年までに運転開始すれば、AEOIは同国の原子力発電設備容量が300万kWを越えると指摘している。

 イラン南西部に位置するブシェール発電所では、2011年5月にイラン初の商業炉となる1号機(PWR、100万kW)が初めて臨界条件を達成し、同年9月から国内への送電を開始。建設工事を請け負ったロスアトム社傘下のNIAEP-ASE社は、2016年4月に同炉をイラン側に正式に引き渡した。
 2014年11月にロスアトム社は、同発電所Ⅱ期工事となる2、3号機の増設契約をイランの「原子力発電開発会社(NPPD)」と締結した。これと同時に、両国間の既存の協力協定を補完するための議定書にロスアトム社とAEOIは調印。ここでは、同発電所でロシア型PWR(VVER)をさらに2基、その他のサイトでも4基をターンキー契約で建設することが明記された。
 これら8基の原子燃料はロシアが供給するとともに、使用済燃料も再処理・貯蔵のためにロシアが引き取る約束。両国の協力は平和利用分野に限定され、国際社会が危惧する核兵器開発への転用疑惑は払拭されるとしている。

 ロスアトム社は、ブシェール発電所Ⅱ期工事の起工式を2016年9月に執り行っており、2、3号機は1号機と同様100万kW級のVVERになると説明。最新の安全性能を有する第3世代+(プラス)の「AES-92」設計を採用するため、動的と静的両方の安全システムや二重の格納容器が装備されるほか、欧州電力会社要求事項(EUR)の技術要件にも適合するとした。
 2号機用の地盤掘削作業などはすでに2017年に始まっており、これまでに300万立方m以上の土砂が掘削され、ベースマットには3,000トンの鉄筋コンクリート、35万トンものセメントを使用。最初のコンクリート打設を実施したことにより、AEOIは建設プロジェクトの約30%が完了したことになると強調している。

 (参照資料:RIAノーボスチ通信社(ロシア語)AEOI(アラビア語)の発表資料、原産新聞・海外ニュース、およびWNAの11月11日付「ワールド・ニュークリア・ニュース(WNN)」)